2020/10/07

D-Cafeレポート

《リラックス・トーク》ショットの復調に手ごたえ。まずは上位入賞、そして優勝を狙いたい ~勝 みなみ~

 みなさん、ご無沙汰しています。勝 みなみです。今シーズンはギャラリーのみなさんとお会いできていませんが、日頃のご声援にはとても感謝しています。ありがとうございます。今日は、少し前のことになりますが、「全英女子オープン」のお話からしたいと思います。
 厳しいスケジュールになるのは覚悟して遠征したのですが、想像していた以上にいろいろなことがありました(笑)。ご存じの方もいるかと思いますが、まず、到着した空港でキャディバッグが出て来なくて……。結局手元に届いたのは、開幕前日の水曜日の午後1時頃でした。

 また、現地で受けることになっていたPCR検査も、到着した月曜日に受けられず、火曜日に受けることになりました。しかも、結果が出るまでに7~24時間かかり、それまではホテルで待機と言われてしまって……。クラブはなくても、歩いてコースチェックをしたいと思っていたのですがそれもできず、火曜日はホテルで過ごすことになりました。そして、水曜日になってコースに行き、ようやくキャディバッグが届いたので午後3時過ぎから4時間くらいかけて18ホールを練習ラウンドしました。そして、その12時間後には初日のティオフ(笑)。コース(ロイヤル・トゥルーンGC)は事前に写真では見ていましたが、行ってみて、本当にブッシュだらけで、ボールを打ち出していく目印もないので、ティショットが難しかったですね。練習ラウンドでは各ホールの大まかなイメージしかつかめなかったので、正直に言うと初日も練習ラウンドをしている感じでした(苦笑)。

 結果は残念ながら予選落ちでしたが、やはり行ってよかったと思います。コース、セッティング、天候。どれも行ってみないとできない経験がいろいろ積めましたから。ハイブリッドや7番アイアンを使ったランニングアプローチもしました。リンクスでしか使わない技かもしれませんが、アプローチの幅が広がると思うし、もしかしたら将来海外のツアーに挑戦するかもしれないことを考えると、そういう打ち方も知っておけば後々役に立つかなと思います。

 たしかにコースは難しかったけれど、いろいろな意味で楽しめました。去年の大会のコースは日本のコースに似ていて、それはそれで面白かったのですが、やはり全英らしい景色のコースでプレーしてみたいという思いがありました。実はリンクスはアマチュアの時に一度プレーしたことがあるのですが、トゥルーンはそのコースとも違って、“ザ・全英”というコースで、そこでプレーできたのは本当によかったと思います。
 それと、私自身、興味があったのは、向こうの選手はパットの時にピンをどうしているのかということ。日本ではショートパット以外はピンを挿したままの選手が多くて、私も短いパットやバーディチャンス以外はピンを抜かずにパットをしていたんです。でも、海外の選手はほとんどがピンを抜いている印象で、私と同じ組の選手も距離に関係なくピンを抜いていました。そうした方がいいイメージが湧くんだと思います。だから、私も日本に帰ってからは基本的に抜くようにしています。

 今年のオフシーズンは、新型コロナウイルスの影響で思った以上に長くなってしまいましたが、私自身は例年以上に筋力トレーニングに力を入れました。それはコロナ対策としてのほかに、今年こそは身体をもっと強くして、長くてタフなシーズンを戦おうと思ったからです。それに、いつかは海外ツアーに挑戦したい気持ちもあるので、いろいろ試してみたいという思いもありました。USLPGAの選手は、それこそ毎日ワークアウト(ジムでの筋力トレーニング)をしているといいます。試合後で疲れていても軽めにやっていると。ただ、最初から毎日やるのはキツいと思ったので、まずは週3回からやってみることにして、できる時には週に5日トレーニングをしました。ツアーが開幕してからも、週3回のトレーニングは続けています。

 トレーニングは、女性のトレーナーさんと1対1で、もちろん距離をとって、十分に換気もしながらやっています。以前は下半身や体幹を鍛えていたのですが、それだと上半身とのバランスが悪くなると思って、今は全身満遍なく鍛えています。ベンチプレスもやるのですが、あれって腕だけでなく腹筋とかお尻とか全身を鍛えられるそうなんです。それを聞いて私も取り入れてみました。そのせいで、去年着ていた服は入らなくなっちゃいましたけど(笑)。
 飛距離も伸びて、ドライバーは芯に当たった時には270ヤードくらい飛ぶこともありますが、あくまでケガをしない身体をつくることを目標にしています。女性のトレーナーさんにつくのは今回が初めてなのですが、すごく研究熱心な人で、いろいろ提案してくれます。それを見ると、私も頑張ろうとすごく思えるので、いい関係だと思います。

 ただ、今シーズンのここまでのプレーに関しては、正直納得できない部分が多いですね。特にティショットなのですが、右に抜けることが多くて、あまりに右に行くので意識過剰になって、さらに右に出るという負の連鎖に陥ってしまったので、それをどうにか修正しようと練習しています。おかげで最近の試合では少し改善されてきた感じがあって、いいゴルフができている日もあるので、ショットはだんだん復調してきているのかなと感じています。

 逆にパットはメッチャいいんです(※平均パット数〈1ラウンド当たり〉でランキング1位。9月末時点)。パターや打ち方を変えたわけではなく、自分で気持ちがいいと感じる構え方でストロークするようにしているんです。人の手は毎日大きさも厚さも変わるので、「こうじゃないといけない」という概念を捨てて、朝のパッティンググリーンでの感触を大事にしています。リズムにしても、「今日はこういうリズムがいいな」と思ったら、そのリズムをしっかり固めて、本番でもそのリズムを保つようにしています。それをやり始めてから、すごくパットがよくなったので、自信を持ってストロークできていますね。
 これまでいい成績を残せていないので、ちょっと自信をなくしている部分があって(苦笑)、それはショットに原因があるのですが、それも自信を持って振れば大丈夫だというところまできたので、試合を重ねながら自信を取り戻せたらと思っています。
 今後の目標としては、まずは予選を通過して、上位でプレーできるようになりたいし、それができたら優勝を狙いたいと思います。そのために、まずは自分の課題を1つずつクリアしていきたいですし、トレーニングも自分なりに頑張っているので、それが結果につながればいいなと思っています。

勝 みなみ(かつ・みなみ)
8歳でゴルフを始め、「日本女子アマ」「日本女子オープン ローアマ」など数々のアマチュアタイトルを獲得。また高校1年時には国内女子ツアー史上最年少優勝を達成。17年プロテスト合格。19年までにツアー通算4勝。身長157センチ、血液型AB。