みなさん、こんにちは。勝 みなみです。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
私は、新しい年を鹿児島の自宅で迎えました。鹿児島には1月10日までいて、ゴルフもしましたが、基本的には家でのんびり過ごしました。その後は、拠点にしている東京に戻り、本格的に筋力トレーニングを始めました。
トレーニングは去年のオフから1年を通してやり続けたことで、筋力がついて、身体もトレーニングに慣れてきたので、トレーナーさんとは、今年はプラス20％のトレーニングをしようと話しています。最近はデッドリフトやスクワットで使うウエイトを増やしたり、回数を増やしたりしていて、ツアーの再開が近づいてきたら、瞬発系のトレーニングを増やしていくつもりです。トレーニングは、去年と同じように、シーズンが始まってからも、月・水・金と週に3回、その日の体調を見ながら続けようと思っています。
ただ、トレーニングは、飛距離を伸ばすのが目的ではなくて、ケガをしない身体づくりと体力アップのためにやっています。ゴルフは同じ動きを繰り返すスポーツなので、崩れた時に早く“整う”身体を作りたいと思っています。去年は、本当は1年間プレーした上でトレーニングの成果を見たかったのですが、それができなかったので、今年は1年間やってどう変わるのか、今から楽しみです。
去年は、開幕からなかなか思うような結果が残せなかったのですが、秋になってショットの調子が上がってきました。それに伴って成績もよくなっていって、「樋口久子 三菱電機レディス」（10月第5週）で2位になり、初めてトップ10に入ることができました。
ただ、あの試合は2日目を終えてトップに立てた時点では、優勝できるんじゃないかと思っていました。だから、勝てなかったのは悔しかったですね。でも、最終日はあまり調子がよくない中でスコアをまとめることができたので、自分がやれるだけのことはできたかなと思うし、2位という結果を残せたのは自分なりには評価しています。正直に言うと、（優勝した）西村優菜ちゃんがスゴかったし、“完敗”という感じだったので（苦笑）、勝てなかったことはあまり気にしていません。それに、負けることで成長したり、分かったりすることもありますからね。
一方で、パットは開幕から最後まで感触がよかったですね（注：平均パット数〈1ラウンド当たり〉は第1位）。入るかどうか別として、1年を通して自分のイメージしたパッティングができたのはよかったと思います。
それと、バンカーショットもすごくよかったです（注：サンドセーブ率 62.5%で第2位）。とくに、秋になって3本のウエッジを「クリーブランド RTX ZIPCORE ウエッジ」に替えてから、バンカーショットのフィーリングがすごくよくなりました。それは、ソールの形状もいいからなのでしょうが、シャフトとヘッドのバランスがすごくいいなと感じます。だから、振りやすいし、打ちやすい。それに、アプローチでも安定してスピンがかかってくれます。
私は中学生の頃から、もう10年ぐらいクリーブランドのウエッジを使っていますが、その中でも「RTX ZIPCORE」は最高のウエッジだと思うし、私にすごく合っているなと感じますね。
振り返ってみると、去年はショットに苦労した1年でした（苦笑）。ウッドもアイアンもそうなのですが、スイングの切り返しで身体が浮いて、右にプッシュするような球が出てしまって。後半は身体が浮くのを抑えることを課題にしていて、去年12月の「全米女子オープン」でも、その課題に取り組みながらプレーしました。ただ、練習ではできても、やはり試合になるとなかなか難しいんですよね。全米女子オープンの頃はまさに迷走中という感じで（苦笑）、結局カットラインに2打及びませんでした。
その後も、体が浮かないようにするにはどうすればいいのか、ずっと研究していたのですが、1月末になって気づいたことがありました。アドレスで、今までよりもお尻を突き出すイメージをもつようにしたんです。それまでけっこう立ち気味のイメージで構えていたのですが、トレーニングで身体が変わってきて、筋力もついてきたので、お尻を突き出す姿勢にも耐えられるかなと。それで、まず練習場でやってみたら、すごくいい感じで振れて、アドレスも心地よいと感じることができました。先日コースでも初めて試したのですが、ショットが安定していい感触でした。ただ、アドレスでお尻を突き出すのを忘れてしまうことがたまにあるので（笑）、今はそれを忘れないように意識して練習しています。
今年に入って、練習場ではかなりボールを打ってきたのですが、まだあまりラウンドはしていません。でも、2月中旬には鹿児島に戻るので、そこからラウンドを増やしていって、コースでの感覚をつかんで、沖縄での試合を迎えようと思っています。
もうすぐまたツアーでの戦いが始まりますが、これまでと同じように、まずは「楽しく、笑顔でゴルフをする」ことが今年の私の目標です。それと、シーズン中もトレーニングを続けることで、どうプレーが変わるのかを確かめたいと思っています。全米女子オープンに出て、将来アメリカでプレーしたいという気持ちがますます強くなりました。アメリカはゴルフの環境が素晴らしいし、日本とはまた違ったものが得られると思うので。海外の選手を見ると、やはりトレーニングとか体力づくりを大切にしている人が多いので、私も同じようなイメージでやっていけたらと思っています。
以前のように、ギャラリーのみなさんの前でプレーできるのがいつになるのか分かりませんが、やっぱりいいプレーは間近で観てほしいというのが私のいちばん強い思いです。それが実現して、早く通常のツアーが戻るように私たち選手も努力したいと思います。その日までは、テレビやネットの中継で応援していただきたいですし、画面を通してでも、トーナメント会場で観ているのと同じようにファンのみなさんが熱狂し、声援を送ってくれるようなプレーがしたい。とにかく私たちプロの“熱量”は、たとえ無観客であっても変わらないので、アツく応援していただけたらうれしいです。頑張ります！
（※）データはすべて2020年末時点。
勝 みなみ（かつ・みなみ）
1998年鹿児島県生まれ。8歳でゴルフを始め、「日本女子アマ」「日本女子オープン ローアマ」など数々のアマチュアタイトルを獲得。また、高校1年だった2014年には国内女子ツアー史上最年少優勝を達成。17年プロテスト合格。19年までにツアー通算4勝。身長157センチ、血液型AB。