翌週の第2戦も、首位タイで迎えた最終日の最終18番でパーパットを決めることができず1打差の2位。結局、序盤戦での2度の2位が昨シーズンのベストフィニッシュとなった。もしもどちらかで優勝していたら、かなり違う一年になっていたのだろうか。
「そうですね。シーズンを通して、もっと自信を持ってプレーできていたかなとは思います」
ただ、優勝できなかったとはいえ、滑り出しとしては上々だった。だが、その後、オーストラリアでの2試合は開催されたものの、続くアジアシリーズは新型コロナウイルスの影響で中止に。日本に一時帰国していた畑岡は、米国に入国できなくなることを想定し、予定を早めて3月上旬に再渡米した。ところが、まもなく米国本土での試合も延期や中止が発表され、今度は日本への入国が制限される恐れが出たため慌てて帰国。それから5カ月近くを日本国内で過ごすことになった。
「去年の緊急事態宣言期間中は、自宅の“鳥カゴ”の中でボールを打っていました。ネットは前からありましたが、他にもマットとか練習器具はいろいろ買いましたね。卓球台を買ったのも同じ時期で、気分転換に時々遊んでいました(笑)」
その後、宣言が解除され、ラウンドする機会も増えたものの、次の試合がいつ行われるのか分からない状況での調整が続いた。
「だれもがそうだったと思いますが、試合がないのにどうやって調整しようかなと。それに、休んでいてもやはり調子の波はありますから」
その後、7月末にUSLPGAツアーが再開され、畑岡も8月中旬の「スコットランド女子オープン」から再参戦を果たした。この試合での畑岡の成績は、4日間通算1アンダーの12位。シーズン最初のメジャーとなった翌週の「AIG女子オープン」は64位に終わったものの、毎週試合に出場するうちに畑岡は調子を上げていく。
アメリカ本土に戻って2戦目の「ANAインスピレーション」(9月第2週)。シーズン2戦目のメジャーで、畑岡は決勝ラウンドで「67」「69」という好スコアをマークして7位タイに食い込み、久々のトップ10フィニッシュを果たした。
そんな畑岡が、昨シーズンから新たに使い始めたギアがある。ひとつは、NEW『スリクソン Z-STAR』だ。アマチュア時代からプロ入り後しばらくは「Z-STAR XV」を愛用していた畑岡だが、アメリカ参戦2年目の2018年途中に「Z-STAR」にスイッチした。
「特にメジャーではグリーンが硬いので、ボールは少しでも止まりやすいほうがいいと思ったからです。新しいZ-STARは、グリーン周りのラフからのアプローチのスピンが増えて、さらに止まりやすくなったと感じるし、球の高さもイメージ通りですね」
USLPGAツアーは、まもなく2戦目の「ゲインブリッジ選手権」が行なわれる。開催コースのレイクノナゴルフ&カントリークラブ(フロリダ州)をホームコースとする畑岡にとっては、この試合が2021年の開幕戦となる。
「今シーズンは絶対に優勝したいです。去年の分と合わせて、今年は2勝しないといけないですね(笑)」
畑岡のUSLPGAツアー参戦5年目が、実りあるシーズンになることを心から祈りたい。
畑岡 奈紗(はたおか・なさ)
1999年茨城県生まれ。11歳でゴルフを始め、高校3年時の2016年に「日本女子オープン」で国内メジャー史上初のアマチュア優勝を達成。翌17年からUSLPGAツアーに本格参戦し、18年ツアー初優勝。これまでに国内 5勝 (うちメジャー 4勝) 、米国 3勝。身長158センチ、血液型A。