2021/08/26

D-Cafeレポート

《リラックス・トーク》優勝争いは楽しい! 今年中に先輩は初優勝、後輩は2勝目をめざす ~植竹 勇太 & 片岡 尚之~

D-cafe:まずは、片岡プロ、「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」(以下、JPC)でのツアー初優勝、おめでとうございました。
片岡:ありがとうございます(笑)!

D-cafe:あの試合は最後まで大混戦で、18番ホール(パー4)で上位選手の多くがボギーとし、パーで上がった片岡プロが優勝しました。お二人は、組は違いましたが、通算15アンダーの首位タイであのホールを迎えました。それぞれのプレーを振り返っていただけますか?
片岡:僕は、ティショットがよくて、セカンドショットも芯を食いました(笑)。セカンドは、グリーンの数ヤードの幅に落とさないとピンに寄らなくて、右にズレたら激しい下りで寄せるのが難しいし、左にズレてもどこまでも転がっていっちゃうような感じで。風も強かったのですが、そんななかでいいショットが打てたのは運がよかったです。それでパーで上がることができました。
植竹:セカンドは本当に落とし場所が狭かったんです(苦笑)。僕はパーオンしたものの、グリーンの左サイドに乗せてしまったので、その時点でダメでしたね(注:3パットのボギーで2位タイ)。でも、あのホールでのパーはスゴい。風もヤバいくらい吹いてたし。

D-cafe:片岡プロは、第2打を低い球で攻めたそうですが、低い球を打つ練習をしていたとか。
片岡:そうです。低い球を打つのは、スイング矯正の意味もあるんです。低い球を打つ時には身体が起き上がらないですから。練習をしているうちに、コースでも打てるようになって、狭いホールでも使えるようになりました。あのホールは、右からのアゲンストだったので、低く抑えつつフェード気味に風にぶつけたのが上手くいきました。

D-cafe:プロならではの技ですね。でも、あの試合では、あまりショットの調子がよくなかったとか。
植竹:たしかにヤバかったよね(苦笑)。僕がスタート前の練習場で見たショットはひどかったです。
片岡:はい、コースだったら林とかOBになるような球を打ってました(苦笑)。試合では、アイアンをカット気味に打ったり、悪いなりに小細工で凌いだ感じですね。それに、ラフがあまり長くなかったので、ティショットでフェアウェイを外してもセカンドでグリーンを狙えたんです。

D-cafe:それでも優勝してしまうのはスゴいですよね。植竹プロも、18番ホールは残念でしたが、終盤の16番でイーグルを獲ったし、いいプレーをしていたのではないですか。
植竹:そうですね。なかなかパットが決まってくれませんでしたが、それを除けば4日間いいゴルフができたかなと思います。ただ、2位タイでも全然喜べなかったですね。たしかに自己ベストなんですけど、悔しさのほうが大きかったです。

D-cafe:翌週の試合(ダイヤモンドカップゴルフ)では、お二人ともトップ10(注:片岡プロが4位タイ、植竹プロが8位タイ)に入りましたね。勝った直後の試合で上位に入るのは難しいとも言われますが。
片岡:それはいろんな人から言われていたので、勝ったのはマグレだと言われないよう、予選だけは通過しようと思っていました。あの週もショットはホントにひどかったのですが(苦笑)、優勝してずっと試合に出られるようになった安心感からか、気持ちにゆとりがあったので、精神状態はすごくよかったし、落ち着いてプレーできました。

D-cafe:お二人は北海道出身で2歳違いですが、初めて会ったのはいつなんですか?
植竹:たぶん僕が小3で、ナオ(片岡プロ)が小1ぐらいのジュニアの試合ですね。だから、僕はナオがこれぐらい(といって腰のあたりを指す)の時から知ってます。
片岡:植竹さんだって、こんなんだった(と言って膝のあたりを指す)じゃないですか(笑)。
植竹:(笑)。たぶん高校に入ってからナオに抜かれちゃったんだよね、俺。あの頃、ナオが最近めちゃ食べると、ナオのお母さんがフェイスブックに載せていて。それを僕は自分の母親から聞いたんですけど。

D-cafe:ご両親同士も知り合いなんですか?
片岡:そうですね。僕たちの試合会場で会うので仲良くなるみたいです。僕の母は、植竹さんのことを「うえっち」と呼んでます(笑)。

D-cafe:片岡プロは、お父さんの影響でゴルフを始めたそうですね。
片岡:はい。父は芝刈り機の営業をしていて、いつも仕事でゴルフ場を回っていました。ラウンドも年に何十回もしていましたね。祖母も昔、ゴルフ場の副支配人をしていたそうで、僕にとってゴルフは身近な存在でした。
植竹:僕の父もゴルフが大好きで、その影響でボールを打ち始めたんです。
片岡:植竹さんのお父さんはゴルフが上手くて、お父さん界隈では有名人なんです(笑)。

D-cafe:(笑)。お二人とも幼い頃から活躍されていますが、プロになろうと思ったのはいつ頃ですか?
植竹:僕は、大学4年で「北海道アマ」に出る時に、「これに勝てなかったらプロをめざすのをやめます」と宣言したんです。そうしたら優勝できたので、本気でプロになろうと決めました。ただ、あの試合でのナオは怖かったですね。負けるかと思いました(苦笑)。
片岡:僕は、小4の時にゴルフスクールに入ったのですが、その時に「やるからにはちゃんとやろう」と、プロになる決心をしました。両親に聞くと、保育園に通っていた頃から「タイガー・ウッズみたいになりたい」と言ってたらしいですけど(笑)。

D-cafe:片岡プロの初優勝はツアー参戦4試合目というスピード記録でしたが、植竹プロも、ツアーに本格参戦するのは2020~21シーズンが初めてですよね。それでトップ10に2度入っているのは、順調と言えるのではないですか?
植竹:いやー、順調かどうかは自分ではわからないですね。大学の同期の比嘉(一貴プロ)は2年前にツアーで勝っているし、それにくらべたら僕なんて全然ですし。だから、自分ではずっと「もうちょっとだな」と思いながらやっています。

D-cafe:レギュラーツアーの印象はいかがですか? 
植竹:やっぱりコースが難しいですね(苦笑)。
片岡:でも、いいじゃないですか。植竹さん、ドライバーショットが曲がらないから。

D-cafe:そんなに曲がらないんですか?
片岡:はい。フェアウェイの芝を刈ると、順目と逆目で縞ができますよね? あの縞を見て、「右から何番目の順目に打つね」と言って、その通り打ちますから。僕と正反対です(笑)。
植竹:あー、学生の頃でしょ。今はムリだなぁ。ティショットがフェアウェイにあればたしかに楽なんですけど、距離が残るので苦しいんです。チャレンジでもみんな飛ばすので、やっぱりもっと飛距離が必要だなと思ってやっていたら、曲がるようになってしまって……。ただ、今はやっぱり曲がらないほうがいいなと思うようになったので、力いっぱい振るのはやめて、フィニッシュをしっかりとるようにしています。

D-cafe:片岡プロはツアーのコースはどう感じていますか?
片岡:いや、ホントに難しいですよね。
植竹:ウソ、感じてないでしょ(笑)。
片岡:ハハハッ。難しいですけど、ジュニアの頃から時々ツアーの試合に出させてもらっていたので、それなりに経験はあるんです。だから、難しいと思いながらも、昔は通用しなかったのが、〝こうすればなんとかなる〟みたいなことはだいぶわかってきました。

D-cafe:先ほど片岡プロから、植竹プロのティショットの正確性の話が出ましたが、植竹プロから見て、片岡プロの長所はどんなところでしょう?
植竹:ナオのゴルフですか? 見ていて面白いです(笑)。僕とは正反対のゴルフで、とにかく破天荒ですね。ティショットを大きく曲げてもバーディを獲るし、スゴいです。
片岡:だから、僕は植竹さんのティショットがうらやましい。
植竹:でも、飛ぶんですよ、ナオは。いつも僕はバカにされるんです。「あれ? スプーンで打ったんですか?」とか(笑)。
片岡:(笑)。僕もジュニアの頃は飛ばなかったんです。それが、大学1年の時に腰を痛めてしまって8カ月ぐらいゴルフができない時期があって、その後、ゴルフを再開したら、いきなり飛距離が20ヤードくらい伸びたんです。その分、曲がるようにはなったのですが、そこからプレースタイルが変わりましたね。プロになってからは、多少飛距離を落としても正確性を上げようかとずっと悩んでいたのですが、今は、どっちにしても曲がるので振りちぎろうと思ってます(笑)。
植竹:そうそう、振ったほうが曲がらないって(笑)。

D-cafe:ほかにも強みはありますか?
植竹:ナオはアプローチもパットもずっと上手いですよ。

D-cafe:たしかに、現在、片岡プロの平均パットのランキングは4位です。
植竹:それはスゴい!

D-cafe:そう言う植竹プロも、フェアウェイキープ率では12位につけています。
片岡:植竹さんもパットが上手いし、本当に全部がバランスよく上手いです。僕はスタッツをチャートにするとギザギザしているので(笑)。

D-cafe:最後に、今シーズンの目標をお聞きしたいのですが、植竹プロはやはりシード権獲得でしょうか?
植竹:シード権は獲りたいですけど、僕は今年中に勝ちたいんですよね。なにより優勝争いは楽しいですし。「ダイヤモンドカップゴルフ」でも、最終日はスコアを伸ばせなかったけれど、優勝争いは楽しかったです。
片岡:僕も優勝争いが楽しいです(笑)。
植竹:あれでギャラリーがいたらたまらないよね。
片岡:ですよね!

D-cafe:やはりギャラリーがいると違いますか?
植竹:はい、もちろんいたほうがいいですよね。ワーッと言われたいし(笑)、やっぱりギャラリーの存在は大事です。

D-cafe:片岡プロの今後の目標はいかがですか?
片岡:僕は今年中に2勝目を挙げることですね。初優勝は、正直狙ってできたものではなかったというか、勝っちゃったという感じだったので、次は、最終日・最終組で回って、ずっと緊張しながらもいいプレーをして勝ちたいと思っています。

D-cafe:お二人での優勝争いにも期待しています。今日はありがとうございました!

植竹 勇太(うえたけ・ゆうた)
1995年北海道幕別町生まれ。東北福祉大4年だった2017年、片岡プロと出場した「国体」の団体戦と個人戦で優勝。同年の「北海道アマ」も制し、同年プロ転向。2020~21シーズン賞金ランキング54位。

片岡 尚之(かたおか・なおゆき)
1997年北海道江別市生まれ。2014年「北海道アマ」を大会最年少の16歳で制すると、同年の「日本ジュニア」で北海道の選手として初優勝。東北福祉大4年だった2019年プロ転向。今年5月、ツアー参戦わずか4試合目で初優勝。2020~21シーズン賞金ランキング22位。

※賞金ランキング、部門別ランキングは2021年8月10日時点。