2021/12/02

D-Cafeレポート

《リラックス・トーク》ここぞという時に勝てる選手になりたい。いつの日か海外でプレーするのも夢 ~ 小倉 彩愛~

 みなさん、はじめまして。今年6月のプロテストに合格した小倉 彩愛です。これからどうぞよろしくお願いいたします。今日はまず、私の自己紹介から始めたいと思います。
 私がゴルフを始めたのは4歳の時でした。3歳上の姉の誕生日プレゼントに、両親がジュニア用のクラブセットを買ってあげたのですが、姉はすぐに飽きてしまったみたいで(苦笑)。すると、4歳の私がそれを使ってずっとアプローチショットをしていたのだそうです。私自身は覚えていなくて、両親から聞いた話なのですが(笑)、物心がついた時にはゴルフをしていた感じですね。

 小学校に入ってからは、毎日練習するようになって自然と競技に出るようになりました。コーチはずっと父で、最初は父も一緒に練習していたのですが、私が真剣にゴルフをやるようになってからは、父はクラブを握らなくなって、私を車に乗せて練習場に連れて行ってくれました。
 プロゴルファーをめざそうと決めたのがいつのことなのか、自分でも分かりません(苦笑)。毎日練習して、すぐ近所にゴルフ場がある環境だったので、いつしか「自分はプロになるんだな」と思いながら練習するようになりました。

 初めて競技に優勝したのは、地元岡山県のジュニア競技だったのですが、出場選手があまり多くなかったこともあって、うれしさはいまひとつでした(苦笑)。でも、14歳で初めて出た「日本ジュニア」に勝てた時はうれしかったですね。
 初めて「日本女子オープン」に出たのは2017年大会で、高校2年生の時です。それまで、自分と同世代の選手がそんなにたくさん出ているなんて知らなかったのですが、両親に勧められて、予選会に出ることにしたんです。地区予選、最終予選と通過して、本選に出られることになったのですが、練習ラウンドをしてみて「なんて難しいコースなんだろう!」と思いました(笑)。それまでステップ・アップ・ツアーの試合には1度だけ出たことがあったのですが、レギュラーツアーは初めてで、「スコアになるのかな?」とすごく不安でした。でも、試合が始まってみたら、全然緊張せず、ギャラリーの方がたくさんいるのがすごく楽しく思えました。

 私は距離が出るほうではないので、本選ではハイブリッドを使うことがとても多かったのですが、ショットの調子がよくて、ピンに絡むショットがたくさん打てました。ずっと上位にいたので、集中力も高い状態をキープできたのだと思います。
 順位のことはあまり意識していませんでした。正直そんなに上手くいくとは思っていなかったし、楽しくプレーできればと思っていたので、3位タイという成績には、「こんなにいい位置で終われたんだ!」と自分でもビックリしましたね。

 それで、高校卒業後にプロテストを受けたのですが、残念ながら失敗してしまいました。私は最終テストからの受験だったのですが、直前に腰痛が出てしまって、練習ラウンドでは、途中、カートの座席に横になるくらい、痛くなってしまって……。本番も痛みでプレーに集中できませんでした。当時の私は、自分なりに筋力トレーニングをしていたのですが、方法が自分の身体に合っていなかったことが、腰痛につながったように思います。テストに失敗した時には、ショックというより、「大事な試合にまったく準備ができていなかった自分はダメだな」と反省する気持ちが強かったですね。

 テストのあとは、病院で治療とリハビリをしました。それで、ゴルフを続けられることと、手術はしなくても済むことがわかり、トレーナーさんについてトレーニングをするうちに、「もう一度プロテストに向けて頑張ろう」という気持ちになりました。そう思えたのは、自分が考えていたより、私を応援してくれる人が多かったこともあります。テストに失敗したあとも、たくさんの方がサポートしてくれたので、「これはもうやらないといけない」と思いましたね。

 テストの後、1か月はクラブを握らなかったと思います。そんなことはゴルフを始めてから初めてだったけれど、それまで友だちと遊ぶということを全然していなかったので、同級生と映画館に行ったりしました。それはすごく楽しかったし、いいリフレッシュになりました。
 そして、今年受けた2度目の最終テストでは、初日は合格圏内にいたのですが、2日目はスコアを落として圏外になってしまいました。私が思っていたより、他の選手のスコアがよかったので、これはプレーの内容を変えないとダメだなと。それまでは、「2ピンぐらいに乗ればいいかな」というつもりで打っていたのを、1ピン以内に変えたりとか、ちょっとした違いなのですが、3日目はノーボギーの「67」で回ることができました。そして、最終日は無理をせずにプレーして、9位タイで合格。周りの人たちから「今度は合格するでしょ?」という雰囲気が感じられたので(苦笑)、終わった時にはとにかくホッとしました。

 ゴルファーとしての自分を分析すると、バーディを獲ってもボギーを打っても、気持ちの波が小さいので、自分自身もコースも冷静にマネジメントできるのが武器かなと思っています。感情の起伏が小さいのは、ゴルフに限らなくて、元々そういう性格なんだと思います(笑)。周りの人からは「ショットメーカーだね」と言ってもらえますが、自分ではそう思ったことはないですね。

 得意なクラブは、その時々で変わるのですが、今は中空アイアンの『スリクソン ZX ユーティリティ』の4番と5番ですね。距離で言うと、170~180ヤードなのですが、方向安定性が高くて、とにかく曲がりが少ないんです。今、女子ツアーはパー3の距離設定が長くなってきているのですが、この2本でバーディチャンスにつけることができているので、そこは強みになっています。

 ちなみにボールは『スリクソン Z-STAR XV』です。私は中学生の頃から、ずっと「Z-STAR」を使っていたのですが、去年、XVに替えました。風が吹いた日にXVを試してみて、風に強いと感じたからです。
 プロとしての目標ですが、「ここぞという時に勝てる選手」になりたいと思っています。メジャーとかホステスプロとして出る試合とか、自分にとって大事な試合で勝てる選手になりたいですね。そのためには、「これを入れなきゃいけない」という大事なパットを絶対に決めないと。それが、プロになって出場した数試合で感じたことです。
 同世代の選手が、ツアーでたくさん勝っているけれど、それに対する焦りはありません。むしろ、みんなが勝っていることで、「私も優勝できるはず」と思えます。それに、先にプロになった人たちは、いいお手本だし、吸収すれば自分には全部プラスになると思うから。

 いつか海外に挑戦してみたい気持ちもあります。アマチュアのナショナルチーム時代に、海外のコースで、いろいろな国の選手とプレーしたのですが、プロとしても、いつか海外で外国の選手と戦ってみたいです。
 そのためにも、まずは日本のツアーで活躍したい気持ちがあります。もちろん優勝したいですが、優勝するチャンスを増やすためにも、まずは常に上位で戦える選手をめざして頑張りますので、みなさんどうぞ応援よろしくお願いします。

小倉 彩愛(おぐら・さえ)
2000年岡山県生まれ。4歳でゴルフを始め、「日本ジュニア」(2015年)、「日本女子オープン」(2017年)ローアマチュアなど数々のタイトルを獲得。今年6月、2020年度JLPGAプロテストに合格。プロ転向後、ステップ・アップ・ツアー4試合に出場し3試合でトップ10入り。身長160センチ、血液型A。