D-cafe:まずは、今年10月のAbemaTVツアー「石川遼 everyone PROJECT Challenge」(10月第2週)でのプロ初優勝、おめでとうございました!
桂川 有人プロ(以下、桂川):ありがとうございます(笑)。
D-cafe:そうでしたか(笑)。でも、初優勝はどんな気分でした?
桂川:あの試合では、たまたまショットの調子がよかったのですが、去年からずっとショットが不調だったんです。だから、しばらく優勝はできないかもと思っていたので、勝ててホッとしました。やっぱり結果がすべてですから。
D-cafe:そして、あの試合の翌週の「日本オープン」では、3日目に6アンダー「65」という好スコアをマークしましたね(注:最終順位は23位タイ)。
桂川:はい。あの日は、ショットもパットもよかったです。ただ、去年から、毎試合どちらかと言えば不安のほうが大きくて、「プレーしてみたら、意外と大丈夫だった」という感じなんです(苦笑)。
D-cafe:どんな点が不安なのでしょう?
桂川:元々ショートゲームはちょっと苦手で、昔から不安なんですけど、ショットにはかなり自信があったんです。だからアマチュアの時には、「パットさえ決まれば優勝できる」という気持ちでプレーしていたのですが、去年ぐらいからショットがおかしくなってきてしまって……。ただ、一時にくらべればだいぶよくなってきたので、さらにもう少しよくなってくれば、ショートゲームに集中できるようになると思います。
D-cafe:ショートゲームが苦手とのことですが、ダンロップのスタッフによると、同じスリクソン契約の星野陸也プロが「桂川くんは小技が上手い」と言っているそうですよ。
桂川:本当ですか⁉ それは初めて聞きました(笑)。
D-cafe:(笑)。星野プロとは仲がいいとも聞きましたが。
桂川:僕から仲良しと言っていいのかわかりませんけど(笑)、お互い日大出身なので、僕がツアーに出始めた時に会場でご挨拶しました。その後、練習場でたまたま打席が隣同士になったりして、そこから一応仲良くさせてもらっている感じですかね。
D-cafe:飛距離についてはいかがですか? 今年はレギュラーツアーでの出場試合は少なかったものの、ドライビングディスタンスは291.41ヤードでした。
桂川:自分でいちばん飛んでいたと思うのは、中学2年生の頃で、もう270ヤードぐらいは出ていました。僕は元々体を動かすのが好きで、ゴルフ以外にもサッカーとかバレーボールをやっていたこともあって、細身の割には飛んでいたんです。よくわかりませんが、たぶん〝バネ〟で飛ばしてるんですかね? その後はあまり飛距離が伸びなかったのですが(苦笑)。
D-cafe:先ほど他のスポーツの話が出ましたが、ゴルフはどんなふうにプレーしてきたのですか?
桂川:おじいちゃんが昔はシングルプレーヤーで、聞いた話では、僕の子守りを任されたおじいちゃんが、自分で練習したくて、僕を一緒に練習場に連れていったそうです (笑)。それで僕も4歳頃に始めたのですが、ゴルフに関して記憶があるのは、コースデビューした小学2年生ぐらいからですね。コースに行くのが本当に楽しみでした。
D-cafe:すると、子どもの頃から頻繁にラウンドしていたのですか?
桂川:いえ。ラウンドもおじいちゃんと一緒だったのですが、おじいちゃんは普通のサラリーマンだったので、最初は月イチぐらいのペースでした。練習場に行くのも土日だけで、平日はサッカーやバレーボールをやっていました。
D-cafe:そうなんですね。すると、プロゴルファーになりたいと思うようになったのはいつ頃なのですか?
桂川:小学3年生の頃ですね。ちょうど石川遼さんがツアーでプレーし始めた時期で、遼さんを見て「やっぱり凄いな。カッコいいな」と思って、プロになりたいと思いました。でも、毎日は練習に行けないし、プロはただの憧れで、目指すという感じではなかったですね。プロにはなれないだろうなと思いながらも、夢は持っていたというか。
D-cafe:それで、単身でフィリピンに行かれたと。現地での練習環境は?
桂川:家がコースの敷地内にあったので、本当に一日中ゴルフをしていました。通信制の高校には入りましたが、たぶんプロかそれ以上に練習していたと思います(笑)。特に土日は朝から夕方までずっとラウンドや練習をしていました。あの3年間で一気に伸びた気がします。
D-cafe:フィリピン時代には、アジアンツアーの下部ツアーにも出場したそうですね。海外でそのままプロ転向しようという考えはなかったのですか?
桂川:実は最初はそう考えたのですが、身体がまだ小さかったですし、体力面でも不安がありました。それに、お世話になった方からも、「日本の大学でやってもいいんじゃないか」と言われまして。日本に戻れば、いろいろ勉強もできるなと思って、日大に進むことにしました。
D-cafe:先ほどの話にも出ましたが、今は一時の不調から抜け出しつつあるのでしょうか?
桂川:はい。クラブに関しても、いろいろサポートしていただいて、ショットはだいぶ落ち着いてきました。ただ、自分の中では、高校時代のよかった時とくらべたら、まだ本調子ではないし、もっといいプレーができるはずだと思っています。
D-cafe:今年はAbemaTVツアーが主戦場でしたが、レギュラーツアーでも8試合に出場して、すべて予選を通過しました(注:賞金ランキング87位)。来年はレギュラーツアーの前半戦に出場できます。どんな目標を持っていますか?
桂川:やっぱりレギュラーツアーでも優勝したいです。試合数は限られているけれど、そのほうがかえって集中できるというか、後がないので、目の前の試合で勝つだけです。焦っているわけではありませんが、一試合でも早く結果を出したいなと。
D-cafe:もしも海外ツアーに参戦するとしたら、やはりアジアからでしょうか?
桂川:僕も最初はそう思っていたのですが、大学に行って、その分、年を取ったので(笑)、ここまで来たら、いきなりいちばん上、つまりアメリカに行きたいなと。ヨーロッパもチャンスがあれば行きたいのですが、同じ海外でゴルフをするなら、アメリカでプレーできればいいなと思っています。
D-cafe:夢は大きく膨らみますね。今後の活躍に期待しています。今日はありがとうございました。
桂川 有人(かつらがわ・ゆうと)
1998年愛知県生まれ。中学卒業後、フィリピンに渡り、通信制高校で学びながらゴルフ修行。帰国後、日大に進学すると、「朝日杯」「文部科学大臣杯」「日本学生」「日本オープン ローアマ」「ネイバーズトロフィー」(団体、個人)など数々のビッグタイトルを獲得。2020年10月プロ転向。2021年AbemaTVツアーでプロ初優勝。同ツアーの賞金ランキング3位に入り、2022年前半戦のレギュラーツアーの出場権を獲得。身長167センチ、70キロ。血液型B。