みなさん、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。今日はまず、去年の話からしたいと思います。
東京大会が1年延期になって、僕にもチャンスが出てきましたが、日本代表として出られるのは世界ランキングの上位2人だけ。一人は松山(英樹プロ)さんで決まりなので、僕が選ばれるためには、早い時期に2勝しないといけないと去年の春の時点で思っていました。
その目標を、「関西オープン」(4月)と「アジアパシフィック ダイヤモンドカップ」(5月)でクリアすることができて、さらに「全米オープン」のアメリカ本土での最終予選会を通過できたことで、代表になることができました。
小さい頃から観ていたオリンピックに実際に出られたのはメチャクチャうれしかったのですが、メジャーとはくらべものにならないくらい、半端なく緊張もしました(苦笑)。というのも、メジャーは自分のためにプレーしますよね? でも、オリンピックは国を代表して出るので、いいプレーをしないといけないという責任があります。それを考えると、あの緊張感の中でメダルを獲る人たちは本当にスゴいんだなと感じます。
僕も、欲を言えばメダルを欲しかったのですが(笑)、自国開催のオリンピックに出られたのは貴重な経験だったし、あまり調子がよくない中で最終日に「66」というスコアで回れたのはよかったなと思います。
去年は、3つの海外メジャーにも出場することができました。そのうち、「全米プロ」(5月)と「全英オープン」(7月)は初出場だったのですが、全米プロはパットがまったく入らず、全英オープンはショットの調子がいまひとつで、どちらも自分が思うようなプレーができませんでした。
一方で、2度目の出場だった「全米オープン」(6月)では、まずまずのプレーができました。何よりも、先ほどもお話しした、現地の最終予選会を通過して本選に出られたのはすごくうれしかったですね。最終予選会は、PGAツアーで優勝経験のある選手もかなり出ていて、すごくレベルが高いので、それを突破できたのは大きな自信になりました。それは、全米プロのあと、アメリカに残って2週間以上練習して、日本とは違う芝とか、いろいろ経験できたのが大きかったように思います。
夏場以降、勝てなかった理由。それは、とにかくドライバーのティショットが曲がっていたから(苦笑)。実は、オリンピックでもティショットがフェアウェイに行かずに苦労したのですが、そうなったのにはわけがあります。アメリカでプレーしてみて、弾道をもっと高くしないといけないと思い、スイングを変え、クラブも替えたんです。そうやっていろいろ試していたら、ティショットが全然上手くいかなくなってしまって……。試行錯誤した結果、ようやく11月半ばの「ダンロップフェニックス」ぐらいからよくなったのですが、ちょっと遅かったなという感じですね。
後半戦に結果を残せなかったのは、「早くもう1勝しないと」という焦りもあったかもしれません。自分を追い込みすぎたのか、ゴルフが楽しくなくなって、自分の持ち味であるティショットも上手くいかなった気がします。
ただ、スイングをはじめ、いろいろ変えた結果、ドライバーの飛距離は出るようになったので、いい方向に進んでいると思います。アイアンショットに関しても、アメリカでは、スピンを多くかける必要があるので、どうしてもスイングがカット軌道になりがちなのを、そうならないよう持ち球のドローに磨きをかけて、それがうまくいきました。それに、自分の中で一昨年から変え始めた部分があって、それを続けた結果、前半戦では優勝できたので、その点では自分のやってきたことは正しかったんだなと考えています。
星野 陸也(ほしの・りくや)
1996年茨城県生まれ。6歳でゴルフを始め、2016年プロ転向。18年「フジサンケイクラシック」でツアー初優勝を飾ると、翌19年の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」でツアー2勝目。2020~21シーズンは3勝(通算5勝)を挙げ、賞金ランキング5位。身長186センチ、体重78キロ。血液型O。