2022/04/19

D-Cafeレポート

《リラックス・トーク》「マスターズ」出場という夢をかなえるためにも、賞金王をめざしたい ~ 香妻 陣一朗 ~

 みなさん、こんにちは。香妻 陣一朗です。いつもご声援ありがとうございます。そして、先日の「東建ホームメイトカップ」での優勝、それから僕の結婚に対して、たくさんのお祝いのメッセージをいただき、どうもありがとうございました。
 まず優勝した試合の話からしたいと思いますが、とにかくあの試合での僕は、ショットが〝絶〟がつくほど不調でした(苦笑)。特に最終日は優勝争いの緊張もあり、アイアンショットがグリーンに飛んでいかず、パー3では一度もパーオンできませんでした。
 2日目からトップを守っていたものの、最終日の16番ホールをボギーにした時点で、「もう、これはトップじゃないだろうな」と思っていました。18番パー4で第2打をオンさせた時も、「この調子で2位になれたら上出来でしょ」とキャディと話していたんです。

 それでグリーンに近づいたらリーダーボードが見えて、桂川君(有人プロ)がトップだと知って、同じ最終組でプレーしていた陸也(星野プロ)と二人で、「あいつ、やるな」と話していました(笑)。そして、自分が1打差の2位だとわかったのですが、次にボールの位置を見たら、思っていたよりピンまで近くて。「これを入れたらプレーオフだ」と急にやる気が出ました。陸也は第2打をピンの近くにつけていたけれど、桂川君とは2打差で勝ち目はなかったので、陸也には「俺が頑張るわ」と言いました。
 バーディパットは、6mぐらいの上りでしたが、僕はパットする前からアドレナリンが出まくっていました(笑)。そして「絶対に入れてやる!」と思って打ったら、読み通りにスライスして入ってくれました。

 プレーオフでは、僕も桂川君もピンまでほぼ同じ距離のバーディパットが残りました。実は僕の方が遠いかなと思ったのですが、桂川君が「僕、行きます」と言うので、「あ、どうぞ」と。それで桂川君が外して、僕のバーディパット。僕はアドレナリンが出まくったままで(笑)、最後だけ上りの、7mぐらいのフックラインでしたが、打つ前にもう「これ、入るな」と。外れることはまったく考えなかったですね。決まった時にはガッツポーズと「ヨッシャー!」という雄叫びが自然と出ました。

 あの試合でショットが不調だったのは、調整が間に合わなかったからだと思います。このオフはラウンドを多くした分、打ち込みの量が少なかった。もうちょっとショット練習を多くやってもよかったかな、と今は思います。

 それでも優勝できた要因は、ショートゲームが上手くいったからだと思います。あの試合では、ショットがそんな調子だったので、バーディを獲りにいくことは頭になくて、ずっと「どうやったらパーで上がれるかな?」と考えながらプレーしていました。それで4日間で14アンダーというスコアが出たのは、本当に不思議な感覚でした。
 初優勝の時はあまり実感が湧かず、「たまたま勝てた」という感じがしました。でも、今回はたまたまではなかったので、「こういう勝ち方もできるんだ」と、すごく自信になりましたね。初優勝が一昨年で、それからあまり間隔を空けずに2勝目ができたのはよかったのですが、もっと早く勝てたなとも思います。去年は2位になったことが3回あって、そのうちの1試合は、すごく勝てる感じがしていました。でも、決めないといけないパットを決められなかったことで、その結果、優勝できなかったので悔いが残りました。

 ただ、2位が続いても焦りはまったくなかったですね。「あぁ、なかなか勝てないなぁ」と思いながらも、調子はすごくよかったので、「いつかは優勝できるだろう」と思っていました。いくら自分が頑張っても、相手がそれを上回るプレーをしたら勝てないので、勝つには運も必要だと思います。今回の優勝にしても、勝てる時というのは、ああいうパットが入ってくれるんですよね。
 それに、去年の途中から、自分がレベルアップしているのをすごく感じています。調子が悪くても、最終順位で30位とかで終われているので、全体的に底上げができているんじゃないかと思います。

 先ほどオフシーズンの話をしましたが、ショット練習は足りなかったものの、トレーニングは誰よりもやったという自負があります。トレーニングは、ウェイト系もやりましたが、今年はとにかく走りました。自分でも、「よく走ったな」と思うぐらい(笑)。長い距離も走りましたが、メインはダッシュ系で、トレーナーと相談しながら、いろいろ長さを変えてダッシュしました。ダッシュする場所も、坂道だったり、砂浜だったり、いろいろな状況で走りました。

 ダッシュを多く取り入れたのは、身体のキレを出すためです。身体というのは、ちょっとでも使っていないと、思った以上に動かなくなるらしいんです。脳と身体がリンクしていないと、いい動きができない。子どもの運動会で、お父さんが久しぶりに走ってコケてしまうあれです(笑)。
 でも、走ることで足を動かしていると、脳の指令を身体に上手く伝達できるので、自分の思い通りの動きができるんです。「東建~」では思うようなショットが打てなかったけれど、ダッシュした成果はこれからツアーを戦っていくうちに出てくるんじゃないかと期待しています。

 さて、今シーズンの僕の目標ですが、幸先のよいスタートが切れたことですし、もう1勝して、賞金王争いに絡みたいと思っています。実は、今シーズンは開幕から、「絶対に2勝したい」と思っていました。2勝できれば、おのずと賞金王争いが見えてくるはずだし、2勝すれば、「もっと勝ちたい」という気持ちになると思うんです。
 そして、海外メジャーにもメチャ行きたいです。海外の試合には出たことがありますが、まだメジャーには出たことがないし、特に「マスターズ」には行ってみたい。僕は、マスターズに出場することを夢見て、小さい頃からゴルフをしてきたからです。その夢をかなえるためにも、賞金王をめざして頑張りたいと思っています。

香妻 陣一朗(こうづま・じんいちろう)
1994年鹿児島県生まれ。2歳でゴルフを始め、姉の琴乃プロらとともに腕を磨く。「九州アマ」優勝、「世界アマ」代表などの実績を残し、18歳でプロ転向。2016年にチャレンジ初優勝を飾ると、20年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」でツアー初優勝。今季第2戦「東建ホームメイトカップ」でツアー2勝目。身長165センチ、体重71キロ。血液型A。