みなさん、こんにちは、稲森 佑貴です。いつも温かいご声援をありがとうございます。今日は、5月中旬に出場した海外メジャー「全米プロ」のお話からしようと思います。
僕はこれまで「全英オープン」には2度出場していますが、アメリカでのメジャーに出るのは今回が初めての経験でした。開催コースの「サザンヒルズCC 」の第一印象は、とにかく地面が硬い(苦笑)。7556ヤード・パー70という設定は、数字だけ見るとビックリしますが、ティショットがフェアウェイに行けばランが出るので、長いパー4でも案外セカンドショットでグリーンに届きました。ただ、最終18番は500ヤード近くあってアゲンストもキツかったので、パーオンするのは厳しかったのですが。
それでも、初日にプレーしている時には「やれる」という手ごたえを感じていました。スコアは2オーバーでしたが(注:順位は56位タイ)、それほど悪いゴルフではなかったし、2日目も前半は頑張れていました。でも、2日目の折り返し後はティショットのミスが続いて、ボギーやダブルボギーが来てしまいました。
ティショットをミスしたのは、体力不足もあったと思います。気温が高くてしんどかったこともありますが、途中でバテてしまって、ティショットがつかまらなくなってしまいました。それで、打ってはいけないサイドに打ってしまったり。
以前の「リラックス・トーク」でもお話しましたが、僕は今シーズンの目標として「賞金王」を掲げています。そのためには序盤戦で勝ちたいと思っていたのですが、狙い通りというか、「中日クラウンズ」(4月第5週)で優勝することができました。応援してくださったみなさん、どうもありがとうございました。
開催コースの和合(名古屋ゴルフ倶楽部和合コース)は、最初にプレーした時に自分の好きなコースだと思ったし、お世辞ではなく「いつか優勝したいな」とずっと思っていました。でも、去年まで6回出場して自己ベストが9位で、トップ10に入ったのは2回だけ。毎回、試合が終わると「もっとできたんじゃないか」という気持ちになっていました。
それが今年は開幕戦から調子がまずまずだったし、あの大会が始まってからも手ごたえを感じてプレーしていました。そして、最終日はトップと2打差のスタートだったので、もちろん優勝は意識していたものの、途中から雨が降り出したので、雨の和合をどう攻略するかに集中していたんです。
それに、あの日僕は最終組のひとつ前でプレーしていて、途中、リーダーボードを見たら、最終組がスコアを伸ばしているのがわかったので、同じ組の他の選手とは「僕らは僕らでしっかりやりましょう」という雰囲気になっていました。
そんなふうにプレーしているうちに、気づいたら「あれ? 俺の順位こんなに上がってる!」という感じで(笑)。だから、優勝できたのはもちろんうれしいのですが、優勝争いをしている意識がほとんどない中での優勝だったので、すぐには実感が湧きませんでした。優勝にはいろいろな形があるし、どれも優勝には変わりないものの、今回は本当に不思議な優勝でしたね。
「中日クラウンズ」での優勝で、“メジャーでしか勝てない男”という、うれしいような、うれしくないような呼び名とサヨナラすることができました(笑)。でも、メジャーで勝てれば当然うれしいし、やっぱり僕は歴史のある大会で勝ちたいんです。もちろん出る試合は全部勝ちたいと思ってプレーしますが、特に歴史の長い大会では上位に行きたい気持ちが強いし、和合もそんな試合の一つでした。
男子ツアーも序盤戦が終わって、これから中盤戦に入ります。6月中旬にオープンウィークがありますが、僕はその週は沖縄で開催される「九州オープン」に出場するので、もうしばらく試合が続きます。移動距離もかなり長くなりますが、身体のケアをして、疲れをとりながら頑張るつもりです。
稲森 佑貴(いなもり・ゆうき)
1994年鹿児島県生まれ。2011年、国内男子ツアー史上最年少(当時)となる16歳でプロテストに合格。18年「日本オープン」でツアー初優勝を飾ると、20年に同大会2勝目。今年5月の「中日クラウンズ」でツアー3勝目。今季賞金ランキング6位(6月5日時点)。身長169センチ、体重68キロ。血液型A。