Qシリーズについては、一昨年に受けたシブコ(渋野日向子プロ)から、「8日間トータルでの勝負だから、1日ぐらい悪くても全然気にしなくて大丈夫だよ」と聞いていました。だから私は、普通のトーナメントより気楽に臨んだのですが、第1週の初日、2日目とあまりスコアがよくなくて(苦笑)。その時点で、第2週に進めるギリギリの順位だったので、「大丈夫かな……」と心配になりました。でも、3日目に「66」が出て安心したというか、次のステージには進めるなと思ったら、最終日は落ち着いてラウンドできて、17位という位置で2週目に進むことができました。
第2週のコースは、1週目のコースと同じアラバマ州にあって、同じような林間コースでした。ただ、グリーンは、目がきつかったのと、左右から小さな傾斜がたくさんかかっていてラインがなかなか読めずに、初日、2日目と苦労しました。
でも、3日目になると、グリーンの感触がかなりつかめてきました。目に負けないよう、上りはかなり強めに打って、下りは逆にかなり弱く、というメリハリをつけられるようになったんです。ラインも合ってきて、パットが決まるようになりました。
アメリカでは、母がキャディをしてくれました。セルフバッグでしたが、8日間・144ホール担いでくれたのは、スゴいと思います(笑)。食事も基本的に自炊で、母がお米と炊飯器持参で作ってくれました。クルマも長時間運転してくれたし、母には感謝しかないですね。
母には今年のツアーにも帯同してもらいます。食事も作ってもらいますが、私も一緒に作ろうと思っています。日本にいると、全然そんな気にならないのですが(笑)、アメリカでは、自分から進んで手伝いました。それはたぶん向こうのキッチンが広いのが理由で、2人で一緒に料理をしても苦にならないし、「料理しよう」という気になるのだと思います。
去年の試合でいちばん印象に残っているのは、やはり連覇ができた「日本女子オープン」ですね。あの大会を連覇したのは私で史上3人目とのことでしたが、そもそも連覇自体が難しくて、私は他の大会でも連覇をしたことがありませんでした。だから、初めて連覇できたのが日本女子オープンというのはすごいなと。
あの試合では、新しいドライバー『スリクソン ZX7 Mk II(マークツー)』も活躍してくれました。前週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」から使い始めたのですが、「それまでのモデルより飛ぶ」というのが第一印象でした。
ただ、あの試合を含め2勝できたのはよかったのですが、去年全体を振り返ると、悔しい1年だったなと感じています。というのも、シーズン前に掲げていた「年間3勝以上」という目標を達成できなかったから。やはり自分が立てた目標を達成するのって、すごく大事だと思うんです。それはスポーツをする上でもそうですし、他のお仕事でも同じだと思うのですが、自分自身に課したノルマを達成できないと悔しいですよね。私の場合、大きな試合に勝てたし、もう1試合(楽天スーパーレディース)も4日間ノーボギーでの優勝だったので、周りのみなさんは「よかった」と思われるかもしれません。でも、それでは満足できない自分がいて、目標を立てたからには、それを達成したいなと思います。
アメリカツアーの試合はアマチュアの頃にテレビで観ていました。ただ、それは男子の試合で、女子の試合はあまり放送されないので、観る機会がほとんどありませんでした。だから、自分でプレーしてみたいという気持ちもあまりなかったのですが、2020年に「全英女子オープン」や「全米女子オープン」でプレーしたら、「私のゴルフなら、のびのびプレーできるんじゃないか」「こっちでも戦っていけるんじゃないか」という意識が強くなったんです。それに、シブコから「アメリカツアーはいいよ」という話も聞いて、自分も行ってみたい、チャレンジしたいという気持ちがだんだん強くなっていきました。さらに、2021年にも海外メジャーに出てみて「戦っていける」と感じたので、挑戦することを決めました。
アメリカでプレーしたいと思うようになったのは、私の飛距離が伸びたからだと思います。もっと飛ばそうとトレーニングに力を入れた結果、そのための身体ができてきました。
それにアメリカのコースは、日本にくらべて距離があるので、ドライバーが飛べば、その分有利になります。アメリカのコースはグリーンが硬いので、近くから打ったほうがピンに寄る確率が高いですよね。私の飛距離なら、飛ばない選手に対してアドバンテージになると思えるし、今回の予選会でもそれは感じました。一緒にプレーした選手の中には、今年のツアーで活躍する人が何人もいると思うし、その中で上位に入れたのはすごく自信になったので、ツアーでも自信を持ってプレーできる気がしています。
ただ、飛距離に関しては、今のままでも十分戦っていけるとは思いますが、もう少し精度を高めて飛ばせるようなスイングや身体をつくっていきたいなとも感じました。だから、トレーニングも、方法を見直してやっていきたいなと思っています。
今の時点では、私のような予選会から参戦する選手が、ツアーでどの程度試合に出られるのか分かりません。自分にとっての初戦がいつになるかも未定なので、もしかしたら、春先は日本のツアーにも何試合か出るかもしれません
勝 みなみ(かつ・みなみ)
1998年鹿児島県生まれ。8歳でゴルフを始め、「日本女子アマ」「日本女子オープン ローアマ」など数々のアマチュアタイトルを獲得。また、高校1年時の2014年には国内女子ツアー史上最年少優勝を達成。17年プロテスト合格。翌年プロとしてツアー初優勝を飾ると、2021年、2022年の「日本女子オープン」を連覇。2022年メルセデスランキング4位、平均パット数(パーオンホール)1位。身長157センチ、血液型AB。