2023/05/11

D-Cafeレポート

《リラックス・トーク》初優勝をめざし、ツアーに本格参戦中! ~ 小木曽 喬・呉 司聡・吉田 泰基 ~

 僕は昨年のABEMAツアーで賞金ランキング2位になったことで、今年のツアー前半戦の出場資格を得ることができました。ツアーに本格参戦するのは3シーズンぶりです。昨年もツアーには8試合出場しているんです。ただ、開幕戦の「東建ホームメイトカップ」に出たのは久しぶりで、やっぱり開幕戦から出られると、ツアーが主戦場なんだと感じますね。
 その開幕戦では、ツアーで自己ベストの5位タイに入ることができました。開幕戦に調子のピークが来るように調整したのが上手くいきました。それと、去年ABEMAツアーで2勝できたことも自信につながっていて、開幕戦でもけっこう落ち着いてプレーできたかなと思います。

 2020〜21シーズンは、ABEMAツアーでも賞金ランキングで上位に入ることができなかったので、スイングを大きく変えました。それまですごくアップライトだったスイングを、コーチと相談した上でフラットにして、レイドオフ(トップ・オブ・スイングでクラブが飛球線と平行ではなく左方向を指す形)気味にしたんです。以前のアップライトなスイングだと、球が右に行く傾向が強かったのですが、スイングを変えてからショットが安定して、飛距離もだんだん伸びてきました。球筋も基本はストレートなのですが、ホールによってはドローを打ったりと、どちらも打てるようになりました。今年、ツアーでプレーしてみて、スイング改造の効果が出てきているなと感じています。

 僕が今シーズン使っているクラブを紹介すると、ドライバーは『スリクソン ZX7 Mk II (マークツー)』。去年秋のダンロップフェニックストーナメントから使っています。それまで先代の「ZX7」を使っていたのですが、それとくらべるとスピン量が増えて球が安定するようになりました。アマチュアのみなさんの多くは、スピンが減った方が飛ぶようになると思うのですが、僕の場合、ちょっとスピンが入ってくれた方が曲がらなくなるんです。以前より打ち出しは低くなりましたが、スピン量が適正になったことで、飛距離も伸びました。オフのトレーニングの効果もあるのでしょうが、スピンが足りずにボールが滑ることがないので、強く振れるし、その分しっかりボールが捕まる気がします。

 アイアンはオフの間に使い始めた『スリクソン Z-FORGED II 』です。僕はマッスルバックが好きで、それまでも初代の「Z-FORGED」を使っていたのですが、同じマッスルバックでも新しいモデルのほうが打感は断然やわらかいですね。同じように芯に当たっても「II」のほうがやわらかいし、やっぱり調子がいい時にああいう打感が出ると、より気持ちよくプレーできます。

 去年、ABEMAツアーで2勝できたのは、新しいスイングが上手くハマってくれたからで、去年1年で全体的にレベルアップできたと感じました。ただ、スイングについては、フラットになり過ぎてしまった感じがしたので、今年は以前のスイングとの中間ぐらいにしようとしていて、開幕戦ではいい感触でショットが打てました。
 開幕戦は賞金額が高いので、そこでトップ10に入れたら、リランキングで有利になるなと思っていました。5位タイに入ったことで後半戦もほぼ出られそうなので、その意味でも開幕戦の5位はデカかったし、気持ちもだいぶ楽になりました。

 いいスタートが切れたので、いろいろ目標を立てられるようになったのですが、シード権を獲るのはもちろんですけど、最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」に出られるぐらいの成績、つまり賞金ランキング30位に入りたいと思っています。そう思えるほど、開幕戦で自信が持てました。あとは優勝争いもしたいですね。開幕戦でもいい位置にいたのですが、優勝した今平(周吾プロ)さんの最後の追い上げはすごいなと思ったし、ああいう優勝争いに加われるようになりたいですね。とにかく、僕自身、今年はどこまでやれるのか楽しみです。

小木曽 喬プロのプロフィール、戦績

 僕がプロに転向したのは、2年前の2021年6月。6月という半端な時期になったのは、その直前までアメリカの大学の試合に出ていたからです。アメリカには高校、大学の計7年間いて、大学時代には「全米アマ」に出場して、4年生ではオールアメリカンに選ばれました。「オールアメリカンて何?」とよく聞かれるのですが、これはNCAA(全米大学体育協会)の年間ランキングや全国大会で上位に入った選手が選ばれるもので、僕は地区大会で優勝したことで選ばれました。オールアメリカンは、アメリカ全体で年間40〜50人しかいないので、僕もそれなりに頑張ったのかなと思います(笑)。ちなみに、大学では財政学を専攻して、単位を取ってちゃんと卒業しました。簿記の勉強もしたのですが、日本に帰って来て調べてみたら、アメリカとは簿記のやり方が違うので、ちょっとがっかりしました(苦笑)。

 同い年の仲間よりプロになるのが遅かったので、初めてQTを受けたのも1年遅れでした。なので、QTを受けるまでは、推薦していただいた予選会に通って時々試合に出ていた感じですね。
 ただ、最初に受けたQTはセカンドで落ちてしまったので、去年の前半戦はニート状態で(苦笑)。7月下旬になって、ようやくABEMAツアーの試合に推薦で出場することができて、その後ABEMAツアーでトップ10に3回入ることができました。その結果、賞金ランキング19位になったことで、今年、初めてツアーに本格参戦しているところです。

 僕は、周りから「パットが上手い」と言ってもらえるのですが、それはたぶんアメリカの硬く締まったグリーンでずっとプレーしていたからかもしれません。実際、日本でもそういうグリーンの試合のほうが結果を残せているし、グリーン周りに関しても、アメリカにくらべると日本はやさしいコースが多いので、ショートゲームでは頑張れていると思います。
 自分のゴルフを分析すると、「弱点がないのが強み」だと思っています。より高いステージでプレーするためには、弱点があってはいけないので。ただ、すべてにおいてレベルを上げる必要があります。たとえばミドルアイアンのショットは、まだ自分で納得していなくて、ただグリーンに乗せるだけでなく、バーディチャンスにつけられるよう精度を上げたいと思っています。

 それと、去年はドライバーの飛距離が出ずに悩んだことがありました。日本は狭いコースが多いので、どうしてもティショットを置きにいく感じになってしまって、納得がいかないというか、いい結果が出てもスッキリしませんでした。僕がいつかプレーしたいと思っているアメリカでは、この飛距離では通用しないと分かっていたから。ただ、日本のコースに慣れるうちにだんだん〝振れる〟ようになって、しかも曲がらないようになったので、たぶんティショットは上達していると思います(笑)。

 今年の2月は、1か月間アメリカにいて、毎日のようにコースをラウンドしました。広々とした環境で、ドライバーを振り切るというか、きちんとスイングすることをメインに練習してきたんです。そうして日本帰ってきたら、置きに行きたくなるようなホールでも振れるようになって、飛距離も伸びたので、またドライバーを打つのが上手くなったかなと感じています。
 ツアーの試合で言うと、去年の「日本オープン」には出場したものの、プロとして普通のスポンサー競技に出るのは、今年の開幕戦が初めてでした。実は5年前の「ダンロップスリクソン福島オープン」にも出ているのですが、当時はまだアマチュアだったし、僕自身、何も知らないガキンチョだったので(笑)。

 その開幕戦で感じたのは、ツアーの雰囲気はやっぱりABEMAツアーとは違うなということ。去年、途中からでしたがABEMAツアーに出たことで、あのツアーの雰囲気に慣れましたし、予選ラウンドのペアリングでも注目の組に入れてもらっているなと感じたので、自分が主役になれるように頑張ろうという気持ちがありました。
 それにくらべると、ツアーでの自分はまだ〝お客さん〟になってしまっている感じがあります。だから、まずはツアーの雰囲気に慣れて、早くツアーでも自分が主役になるんだという意識を持ちながらプレーしていこうと思っています。
 そして、もちろん優勝したいですし、いつかアメリカでプレーしたいと思っています。

呉 司聡プロのプロフィール、戦績

 僕にとって、去年はプロとして2年目のシーズンでした。デビューした2020〜21シーズンは、ツアーの7試合に出て6試合で予選通過できたのですが、ファイナルQTで上位に入れず、去年の前半戦はABEMAツアーをメインにプレーすることになったんです。
 ツアーでの初戦は6月に入ってからでしたが、2試合目の「日本プロ」で単独3位に入ることができました。あの週は、調子はそれほどよくなかったのですが、練習ラウンドで一緒に回っていたメンバーの一人のスイングを見てひらめいて、リズムを意識してプレーしたら、いきなり調子がよくなって。本当にリズムを意識しただけなのですが、初日単独トップに立って、その後もずっと上位でプレーすることができたんです。
 日本プロでの賞金はいろいろな意味で大きかったです。まず、リランキングでQT順位も上がったことで、後半戦の試合に出場することができました。後半戦では上位に入れませんでしたが、やはり日本プロでの賞金のおかげで、出場10試合でシード権が獲れました(注:賞金ランキング61位)。

 ただ、ABEMAツアーでは9試合中4試合で予選落ちしてしまったし(苦笑)、ツアーもショットだけ見れば予選落ちでもおかしくない内容でした。リカバリーも上手くできたわけではなかったので、なぜツアーであれだけ予選を通過できたのか、自分でもわからないんです(笑)。
「ゴルファーとしての特徴は?」とよく聞かれるのですが、本当に特徴がないんです(笑)。先日、ある雑誌で初シードの選手たちの特集の中で取り上げてもらう機会があって、自分のスタッツを五角形か六角形にしたんです。他の選手はどれか一つ飛び抜けたものがあるのに、僕だけが小さい〇に近い形で(笑)。「どうしてこれで賞金シードが獲れたんだ?」みたいな感じで、自分でも本当に不思議なんです。

 僕の自己紹介をさせてもらうと、ゴルフは小学校3年生の時に、坂田塾神戸校で始めました。ダンロップの契約プロでは、中山さん(三奈プロ)や大堀さん(裕次郎プロ)が塾の先輩で、安田 祐香ちゃんは3つ後輩です。
 ゴルフを始めてすぐにジュニアの大会に出るようになって、中学1年の時にはもう、「将来、お金を稼ぐにはゴルフしかない」と考えていました(笑)。ただ、真剣にプロになろうと考えたのは高校に入ってからです。
 目標にしている選手は、日大の先輩でもある堀川 未来夢さんと星野 陸也さんです。陸也さんとは1年だけ大学で一緒だったのですが、熱心に後輩を指導してくれるので、ゴルファーとしてだけでなく、人間性の面でも尊敬しています。僕も、これまでツアーの試合に出た時には、一緒に練習ラウンドをしてもらってきました。

 さっきゴルフの特徴がないと言いましたが、「得意なクラブは?」と聞かれたら、一応ドライバーと答えています(笑)。たまにですが、一緒に回った選手にドライバーだけは褒めてもらえるので。ただし、飛距離が出る方ではないので、正確性で勝負ですね。
 アプローチも自分ではまだまだ下手だなと思っているのですが、パーパットだけは上手いかもしれません。「これを入れておかないと」というパットは、気持ちで入れます。

 初めてシード選手として戦う準備として、シーズンオフには下半身の強化に力を入れました。それと、まだ3月に始めたばかりなのですが、スイングを変えようとしていて、クラブの握り方もこれまでとは変えています。きっかけは、今年に入って試合でシニアの寺西明プロと一緒にプレーした時にアドバイスを受けたことでした。

 僕自身、自分のスイングならドローが出ると思っているのに、実際はボールを擦ってフェードのようなショットをずっと打ってきました。だから、いまひとつ自信が持てずにいたのですが、ドローを打つにしてもフェードにしても、しっかりボールを捕まえてコントロールした球が打てるようにしたいんです。ただ、新しいスイングやグリップは、すぐに身につくものではないので、「いつか自分が求めるショットが打てるように」という思いで今は取り組んでいます。

 今シーズンの目標ですが、やはりツアー初優勝と、賞金ランキングで30位以内に入りたいと思っています。最終戦に出て、〝ちゃんとしたシード選手〟になりたいんです。やっぱりそれぐらいの順位でないと、胸を張ってシードプロと言えないと思うから。ショットに関しても、去年はアマチュアに負けるじゃないかというぐらいひどかったので(苦笑)、「やっぱりプロは違う」と言われるショットが打てるようにしたい。いろいろな意味で、本物のプロゴルファーになれるよう、これから頑張ります。

吉田 泰基プロのプロフィール、戦績