優勝という文字が頭に浮かんだのは、最終日の朝になってから。スタート前は、地元の大会は他での試合とはやっぱり何かが違うなと思ったし、少しプレッシャーも感じました。ただ、始まってみると普段通りにプレーできました。地元ということで友だちが応援に来てくれたし、私を応援してくださるギャラリーの方もいつも以上に多かったので、私自身、気合が入った感じはありましたね。
あの試合では、ショットが安定していたこともありましたが、勝因はやっぱりパットだと思います。特に3日目は長いパットが何度も決まってくれたし、最終日も大事な場面で入ってくれました。パットに関しては、開幕からしばらくの間はあまり感触がよくなかったんです。それが、ちょっとずつですが感触がよくなってきて、あの試合では結果になって現れたという感じでした。
実は、あの試合の1カ月くらい前に、球筋をフェードからドローに変えました。私の持ち球は元々ドローで、左に曲がるミスが多かったので数年前にフェードに変えたのですが、フェードは思い通りに打てた時はいいものの、波が激しかったんです。ミス自体多くなっていたし、ミスした時の〝ケガ〟も大きくて……。
それに、フェードを打つには、かなり大げさにそのためのスイングをしないといけないこともあって、「だったらドローの方が安定して打てるんじゃないか」と考えて、ドローに戻すことにしたんです。
ただ、ドライバーに関しては、今はあまり球筋を気にしないようにしています。最初から曲げようという意識ではなくて、ストレートボールを狙って、その結果、自然にどっちに曲がってもいいやと(笑)。今でもたまにフェードが出るのですが、それはそれでいいと思っています。
それは、ドローに戻したことのほかに、ドライバーとボールが自分にマッチしているからだと思います。去年の途中に使い始めた『スリクソン ZX7 Mk II ドライバー』は、飛距離はもちろんですが、アドレスした時のヘッドの見え方も打感もすごく気に入っています。今までのスリクソンのドライバーの中でいちばん好きだし、私にとっては〝過去イチ〟ですね(笑)。
今シーズンは、開幕2戦目から2試合続けて3位(タイ)に入ったりして調子はよかったものの、なかなか優勝できませんでした。ただ、それで悩んだり、焦ったりしたことはなかったです。〝ぼちぼち〟やっていた感じで(笑)、ショットとパットが嚙み合えば、いつか優勝できるだろうとは思っていました。だから、前半戦のうちに勝ててよかったなと思っています。
女子ツアーはもうシーズンの半分が終わりましたが、今後の目標としては、やっぱり今年も複数回優勝したいですね。まだ北海道での試合が残っているし、メジャー、それにダンロップの試合もそうですが、すごく頑張りたい試合がたくさんあるので。
小祝 さくら(こいわい・さくら)
1998年北海道生まれ。8歳でゴルフを始め、「北海道ジュニア」「北海道女子アマ」で優勝したほか、高校3年時に出場した国内女子ツアーでは8位タイに入賞。2017年プロテスト合格。19年にツアー初優勝を飾ると、2020-21年にはシーズン5勝を挙げ賞金ランキング3位に。ツアー通算9勝。身長158センチ、血液型A。