※このインタビューは2023年8月下旬に実施しました。
プレーオフでは、手が震えるくらいメチャ緊張していました(笑)。でも、相手選手もけっこう緊張しているのが伝わってきたので、「じゃあ私は冷静になろう」と思って、あまり喜怒哀楽を表に出さずに、平常心でプレーすることを心がけました。
優勝を決めたバーディパットは下りでしたが、正規のラウンドで18番をプレーした時に同じ組の人が同じようなラインから打っているの見て、あまり速くないと思ったし、曲がり幅もわかっていたので、「しっかりめで大丈夫だな」と思って打ちました。優勝が決まって、一瞬泣くかなと自分では思ったのですが、うれしさが勝ってしまってニコニコが止まりませんでした(笑)。
結局、最終日は18番ホールを3回プレーしたのですが、ドライバーのティショットは打つたびに飛距離が伸びました(笑)。ただ、3回とも飛ばそうというつもりは全然なくて、スイングが緩まないように、とにかく思い切り振るようにしたら飛んだ、という感じでした。
ちなみにドライバーは『スリクソン ZX5 Mk II LS』を使っていて、これに替えてから高さが抑えられて飛距離が伸びたし、方向性も、試合に出るうちにちょっとずつよくなってきました。
初優勝の1カ月後、「楽天スーパーレディース」で2勝目を挙げることができました。実は「資生堂~」では全然調子がよくなかったのに優勝してしまった感じだったので、勝った実感が湧かなかったんです。もちろん最終日は優勝を狙ってプレーしたんですけど、初日から狙っていたわけではなかったので、次は初日から優勝を狙って勝ちたいなと思っていました。
「楽天~」では、練習ラウンドから調子がよくて、初日からバーディをしっかり獲れて「67」で回ることができました。スコアの伸ばし合いになることは開幕前から何となく感じていて、「1日5アンダーを4日間続けたら勝てそう」という感触もあったので、毎日それを目標に頑張りました。
勝因はいくつかありますが、ひとつは、苦手だった100ヤード以内のショットがよくなったことです。まあ今も得意ではないんですけど(苦笑)、初優勝した後からかなり練習するようにしたら、「楽天~」ではだいぶよくなってきていました。試合では、4日間通して100ヤード以内のショットで何度もチャンスにつけることができて、バーディパットも「お先に」と打てていたので、そこは初優勝の時からは上手くなっているなと感じました。
それと、初優勝も2勝目もキャディの古賀雄二さんが助けてくれました。古賀さんは、私とは年はだいぶ違うのですが、高校(長崎日大高校)の先輩なんです。去年のシーズンが終わった後に連絡をくださって、「来年担がせてほしい」と。古賀さんはこれまですごい選手のキャディをしてきて、ツアーで何勝もしているので、私にすれば、すごいキャディさんという認識がありました。だから、お話があった時には「私なんかがいいの?」と思いました。それは今でも思っているのですが(笑)、私が高校の後輩で、やっぱり地元の子を応援したいと言ってくださったので、お願いすることにしたんです。
試合が始まって、初日を終えて7位タイにつけた時点では、自分にちょっと期待していたというか、「意外といけるんじゃない?」みたいな感じになっていました。でも、決勝ラウンドの2日間は風がかなり強くなって、スコアを崩してしまって……。スコアを落としたのは、疲れもあったと思います。疲れが原因でスイングもガタガタになってしまって、それで上手くいかなかったように思います。
一緒に回った選手は、やっぱりメッチャ上手かったです。それはそうだろという話なんですけど(笑)、みんな球に直進性があるというか、球が強いんです。それに、みんなスイングがブレない。体幹が太い感じがして、とにかくブレないなと感じました。アプローチも、「そこからは難しいでしょ」というところからでも寄せてくるので、「スゴっ!」と思いましたね。
私はもともと海外ツアーで戦いたいと思っていたのですが、今回、初めて海外のメジャーでプレーしてみて、今まで以上に世界でプレーしてみたいという思いが強くなりました。
さて、いよいよ私の地元・長崎で「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」が開催されます。私にとって、この大会に出ることが今年いちばん大きな目標でした。会場の「パサージュ琴海アイランドゴルフクラブ」は高校の頃からラウンドしていて、今も練習させてもらっているので、コースのことはよく知っています。ただ、最近はなかなかプレーする時間がないし、大会用にセッティングされている今は、私が知っているのとは全然違うコースになっていると思います(苦笑)。でも、家から通えるし、知り合いも応援に来てくれるはずだし、キャディも古賀さんにお願いしているので、ぜひ地元で優勝したいと思っています。
櫻井 心那(さくらい・ここな)
2004年長崎県生まれ。5歳でゴルフを始め、「九州女子選手権」や「全国高等学校ゴルフ選手権」で優勝。高校3年でプロテストに合格し、ルーキーイヤーの2022年、ステップ・アップ・ツアー新記録となる5勝を挙げ賞金女王に。ツアーに初めて本格参戦した今年「資生堂レディスオープン」でツアー初優勝を飾ると「楽天スーパーレディース」で、ツアー史上4番目の若さ(19歳167日)でツアー2勝目を達成。身長166センチ、血液型0。
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