《 速報! DPワールド(欧州)ツアー「フォーティネット オーストラリアPGA選手権」(11月第4週)と「オーストラリアオープン」(11月第5週)で、2試合連続となる単独2位に入賞! 》
シードを獲ることが最低限の目標だったので、それをクリアできたのはよかったなと思います。ただ、シードを獲るのは想像していた以上に大変でした。予選を通過するのがこんなに大変なものだと思わなかったです(苦笑)。欧州ツアーでは、難しいコースでもしっかりスコアを伸ばさないと予選を通過できません。たとえば、ショットの調子よくて、「20~30位ぐらいにいるのかな」と思っていたのに、実際の順位はカットライン上の50位台だったりします。たぶん同じような感覚の選手は多いはずで、たとえば30位タイが20人くらいいるような感じ(苦笑)。みんな実力差がなくて、同じレベルの選手で溢れているんです。逆に言えば、予選を通過できれば上位に入れるチャンスがあります。
一方で、グリーン上では苦労しました。DPワールドツアーで転戦したグリーンは、日本にはないような芝質ばかりで、ちょっとでもパターの芯を外したらもう入りません。日本のグリーンはすごくきれいで、多少芯を外しても入ってくれる感覚があるのですが、向こうではパターでもミート率が大事。目が強い上にスピードも出るし、ただでさえアンラッキーで入らない可能性があるので、よりしっかりミートすることが求められる感じですね。
ただ、日本でプレーしている時と比べたら全然決まっていない気がするのに、スタッツを見たら、1ラウンドあたりのパット数が12位と悪くなかったんです(苦笑)。それは、パットに関して、以前アメリカの試合に出た時から自分なりに研究してきて、芝の種類に合わせた打ち方を何パターンか持っていたからだと思います。そうやって自分なりに準備してきた部分が、今年になって生きたのかなという気がします。
いろいろな国のいろいろなタイプのコースでプレーしたことで、自分のゴルフの〝引き出し〟はかなり増えましたね。初めてプレーするコースばかりで、行ってみないとわからないことが多くて、バンカーにしても、日本のように砂をきれいに均していなくて、わざと筋を入れているところもありました。そうなると打ち方も変える必要があります。しっかり距離のあるコースも多くて、日本であまりないのですが、パー4のセカンドショットで2Iとか3Iを持たないといけないホールがかなりあるんです。場合によってはウッドを持つこともあって、そういう距離の部分とか、芝質に合わせた打ち方とか、すべてにおいていろいろな経験ができたと思います。
コースの外では、やっぱり食事が大変でした(苦笑)。ずっと連戦なので、日本から食材を持っていくわけにもいかないし、痩せてしまうのは覚悟していたのですが、最初の半年間は特にきつかったですね。向こうではお米もなかなか食べられないし、日本の料理と比べると、自分の舌に合わないことも多かったのですが、我慢して食べるしかない。日本から一緒に行ってくれたキャディさんや他の選手と、みんなで頑張って食べました(笑)。
主食は、パスタやパン、あとはマッシュポテト。パスタなんて、日本にいたら食べるのはせいぜい週に1~2回ですよね? それを毎日、しかも昼と晩に食べる。でも、シーズンも終わり頃になると慣れてきて、日本に帰って来てから、酸味がきつい変わったドレッシングの味も「また食べてもいいかな」と思えるようになりました(笑)。そういうこともいい経験だったなと思うし、来年も同じような食生活になるとは思いますが、食事の面ではそこまで苦に思わずに済むんじゃないかという気がしています。
欧州ツアーの新しいシーズンはもう始まっていて、この記事が公開される頃は僕はオーストラリアでプレーしているはず。今年プレーしてコースを知ることができたし、ツアーの半分以上の試合に出たことで、カットラインや優勝スコアがどのくらいになりそうだとか、このコンディションだと、みんなどのくらい伸ばすのかとか、そういうスコアの感触がつかめてきたので、新シーズンはもっと上位で戦えそうなイメージがあります。
今年、2試合だけでしたが欧州ツアーで優勝争いできたのは、すごく自信になりました。「俺も優勝できる」という自信が持てたので、新シーズンは優勝争いを積み重ねて、ぜひ1勝したいですね。
星野 陸也(ほしの・りくや)
1996年茨城県生まれ。6歳でゴルフを始め、20歳でプロ転向。2018年ツアー初優勝を飾ると、これまでにツアー通算6勝。21年東京オリンピック日本代表。22年賞金ランキングで自己最高の2位となったほか、ゴルファーとしての総合力を示す「トータルポイントランキング」で自身初の1位に。23年はDPワールド(欧州)ツアーを主戦場にプレーし、2023-24シーズンのシード権を獲得。身長186センチ、体重80キロ。血液型O。