あの日は心から楽しいと思えるプレーができたのですが、ジエさんはパットが本当に上手いんです。だから、「どうすればそんなにパットが入るんですか?」と聞いたら(笑)、「練習よ」と言われて。「常に同じリズムで打てるように身体に染み込ませるの。身体に染み込ませたら、試合でも同じように打てるようになるし、そうしたら絶対に入るようになるから」と。ほかにも、考え方とかマネジメントとかいろいろな話が聞けて、すごく勉強になりました。
そのトークショーでもお話ししたことですが、本当のことを言うと、去年はもう1勝したかったんです。初優勝してから、1カ月に一度ずつ勝てていたので、11月も勝てればと。3位タイに入った「大王製紙エリエールレディス」がそのチャンスだったと思うのですが、3日目が悪天候で中止になってしまって……。あと1日あれば、という感じだったので残念だったのですが、大好きな瀬令奈さん(青木プロ)が優勝したので、それはそれでうれしかったです(笑)。
瀬令奈さんとは一昨年の「JLPGAアワード」で初めてちゃんと話をして、そこで一緒に写真も撮りました。その後、いつの間にか仲良くなった感じで、会うとハグしてます(笑)。今は私のことを〝ココナッツ〟と呼んでくれるのですが(笑)、ご飯に誘っていただいたり、本当によくしていただいています。
瀬令奈さんからは、バンカーショットに関するアドバイスももらいました。私は去年、サンドセーブ率が38%ちょっとで、64位という恥ずかしい順位だったのですが(苦笑)、瀬令奈さんは2位でした。その瀬令奈さんに言われたのが、「自分がバンカーに入った瞬間に、〝あ、私、寄るんだ〟みたいな雰囲気を出すのが大事だよ」ということ。そういう雰囲気を出せたら、スイングのリズムもよくなると思うので、それ以来、雰囲気だけはめちゃ出そうと思ってやっています(笑)。
バンカーショットについては、プロならできて当たり前のことがまだできていない感じなので、もっと練習しなきゃと思っていますが、バーディ数を増やすのも課題にしています。私はバーディをたくさん獲っているイメージがあるかもしれませんが、去年の平均バーディ数のランキングは9位(注:1ラウンド平均3.6710個)と、そこまで多くなかったんです。以前にくらべると、ショートゲームは人並みになってきて、パーは拾えるようになったので、あとはもう少しバーディが獲れたら、もっとスコアが伸ばせるだろうなと思っています。
その一方で、去年よかったなと思うのはドライバーショットで、一昨年とくらべて去年は1年を通して安定していました。遠くに飛ぶ分、フェアウェイキープ率が多少落ちてしまうのはしょうがないのですが、曲がったとしても、ファーストカットとか、ちょっとラフにかかるくらいで収まったし、狙ったところにしっかり置けるようにはなりましたね。
クラブは去年のオフに替えた『スリクソン ZX5 Mk II LS ドライバー』をずっと使いました。ロフトは8.5°で、このドライバーにしてからスピン量が減って、それまで高過ぎた弾道がちょうどよくなって、球も力強くなりました。今の弾道の高さなら曲がりも少ないし、打感がいいので球筋もコントロールしやすくなりました。
さて、私の2024年は、いつものように地元・長崎にある展望台から初日の出を見ることから始まって、その後すぐにインドネシアで合宿をしてきました。ゴルフの練習をして、ラウンドも毎日しました。このあとタイでも合宿をする予定です。
今年の私の目標ですが、まずは1勝すること。それができたら、複数回優勝をめざします。それと、出られる海外メジャーにはできるだけ出たいなと思っています。将来的にアメリカで戦いたい気持ちがあるので、海外ツアーで経験を積みたいし、雰囲気に慣れたいんです。海外メジャーには、日本ツアーで頑張って世界ランキングをもう少し上げれば参戦できると思います。そして、海外メジャーに出られたら10位以内を目標にします。そのために、どんな練習をすればいいのか考えていて、たとえば100ヤード以内の精度は、去年だいぶよくなったけれど頑張ってもっと高めたいし、特にサンドセーブ率は上げたいです。だから、このオフは一日中バンカーにいて、砂遊びするのもいいかも(笑)。
でも、いちばん大きな目標は、やっぱり年間女王になること。昨年できなかった年間5勝をめざします。できることなら、毎月勝つ――。それくらいの気持ちで攻めていこうと思っているので、みなさん、今年も応援よろしくお願いいたします!
櫻井 心那(さくらい・ここな)
2004年長崎県生まれ。長崎日大高在学時に「九州女子選手権」や「全国高等学校ゴルフ選手権」で優勝。3年時にプロテストに合格し、ルーキーイヤーの2022年ステップ・アップ・ツアー新記録となる年間5勝を挙げ賞金女王に。ツアーに初めて本格参戦した23年「資生堂レディスオープン」でツアー初優勝を飾ると、その後3勝を挙げ、ツアー史上3人目となる10代でのツアー4勝を達成。同年の年間ランキング5位。身長166センチ、血液型0。