D-cafe:優勝すると、お花もたくさん届くそうですね。
安田:はい、すごかったです(笑)。マネジメント会社にも自宅にも届きましたし、おばあちゃんの家にも送ってもらいました(笑)。自宅がお花で溢れてしまったのと、試合で留守にしてしまうので、おばあちゃんに世話をしてもらったんです。ただ、落ち着いた後は、それも自宅に持って帰ってきました。
D-cafe:アマチュアでは何度も優勝していますが、プロでの優勝は、感覚は違ったのでしょうか?
安田:全然違います。プロでの優勝はなんだか盛大ですよね(笑)。それと、アマチュアの時の優勝ももちろん嬉しかったんですけど、通過点というか、まだ先があるという感覚でした。今回の優勝もこれで終わりではないのですが、自分が夢見てきた目標を達成できたという感じはすごくあります。ただ、優勝した実感はあまりなかったんですけど。
D-cafe:試合を振り返っていただきたいのですが、第1ラウンドはボギーなしの7バーディでした。やはりご自分でもいいプレーができたと思いますか?
安田:そうですね。それに運もありました。あの日はインスタートだったので9番ホールが最終ホールだったのですが、ティショットが左サイドのバンカーに入って、第2打でグリーンを狙えずに右に行っちゃって、アプローチもミスして、10mぐらいのパーパットが残ったんです。ピンチだったのですが、それが入ってくれたので、あのパットを含めてすごくラッキーだったと思います。
D-cafe:翌土曜日は悪天候のため競技が中止になって、日曜日も雨の影響で9ホールのみの短縮競技になりましたね。日曜日の朝の心境は?
安田:最初は18ホールやるつもりで集中していたし、初日にいいゴルフができていたので、(優勝の)チャンスだと思いました。最終日最終組は今年初めてで、私としては追いかける方が好きなので、今までだったら「どうしよう?」とか考えてしまっていたかもしれないんですけど、今回はネガティブに考えないようにしました。自分としてベストを尽くして、失敗して叩いてしまったら、それはそれで仕方ないですし、プレーできるかどうかは分からないですけど、「気持ちだけでも強気で行かな」と思っていました。
D-cafe:最終日も、途中で雨が強くなって中断もありました。アイアンショットの瞬間に水しぶきがパッと上がっていましたが、あれは距離感には関係するのでしょうか?
安田:いえ、そんなにないのですが、ちょっとでもヘッドが厚く入ったらダフってしまって滑らないので、インパクトではいつも以上に神経を使いました。
D-cafe:続く17番の第2打では、グリーン左奥のピンに対してピンの左3mにナイスオン。あれは思いっきり突っ込むイメージだったのでしょうか?
安田:あのホールはたしか右から風が吹いていて、ドローが出やすいライだったので、ピンの右を狙ったんです。それが、思った以上に左に行ってしまって、危ないとちょっと思ったのですが(苦笑)、結果的にいいところにつきました。
D-cafe:狙いよりも左に行ったのですね。でも、バーディパットは見事に決めました。
安田:はい。アンジュレーションはなかったし、それほど下りもきつくはなかったのですが、けっこう難しいラインでした。かなりスライスしましたけど、読み通りに入ってくれましたね。
(※)月に一度、ファンとJLPGAの選手による投票で選定される賞。安田プロは5月、6月に続き今年3度目の受賞。
D-cafe:優勝した瞬間は、涙は出ていなかったようですが。
安田:あ、でもウルっとはきていましたよ(笑)。
D-cafe:そうだったんですね。でも、キャディさんが安田プロ以上に喜んでいたのが印象的でした。あのキャディさんとコンビを組むことは多いのでしょうか?
安田:ディネッシュ・チャンド選手の弟でサレイシーさんという人なのですが、あの試合が今年4試合目だったと思います。サレイシーさんにあの試合で担いでもらうのも4年連続で、毎年成績がいいので縁起をかついでお願いしています。
D-cafe:どんなタイプのキャディさんなのですか?
安田:考え方がポジティブなので、私にかけてくれる言葉も前向きなことが多いので、そこがいいです。私も、自分の言いたいことがしっかり言えるので、そういう関係はすごくいいなって思います。
D-cafe:テレビ中継の優勝インタビューでは、途中で涙を流されていました。あれはどんな涙だったのでしょう?
安田:うーん……やっぱりいろいろ思い出したというか……そんな感じです(笑)。
D-cafe:プロ5年目での初優勝ですが、やはりつらかった時期はあったのでしょうか?
安田:デビューの頃とか、昔の記憶はもうあんまりないんですよね(苦笑)。それに、ずっとレギュラーツアーで戦えているので、満足はしていないですけど、ここで戦えることはすごく意味のあることだと思っています。去年に関しては、2位になったこともあったので、「ここからもうワンランク上に行くにはどうしたらいいんやろ?」とか、そんなことを考えていました。
D-cafe:なるほど、あくまで前向きだったんですね。
安田:予選落ちが続くともちろん苦しいんですけど、「優勝する人との差は何やろ?」みたいなことを考えていましたね。その差は、やっぱりパッティングとかメンタルだと思うのですが、運も大事だと思います。優勝する人って、長いパットがポンと入るじゃないですか? 私も「ミヤギテレビ杯~」で、そういうパットがあったので。
D-cafe:技術的に何かを変えたということはないのですか?
安田:ないと思います。技術より気持ちのほうが大事、という感じです(笑)。
D-cafe:昨年まではケガに苦しんでいた印象がありますが、今シーズンは体調は万全なのでしょうか?
安田:いえ、痛いところはあります。先日も首を寝違えてしまったし(苦笑)。やっぱり疲れを溜めちゃうと、どこかしら痛めてしまうので、疲れを残さないようにトレーナーさんにケアしてもらっています。それと、試合が終わって神戸に帰ったら、ほぼ毎週トレーニングをしているのですが、それはケガをしにくい、疲れにくい強い身体を作るためにやっています。
D-cafe:優勝した試合でも使っていたボール『スリクソン Z-STAR ♦️(ダイヤモンド)』についてお聞きしたいのですが、使い始めたきっかけは?
安田:ちょうど2年前だと思いますが、今のモデルがプロに配られた時に、コーチから「試してみたら?」と言われたんです。その時まで使っていた「スリクソン Z-STAR XV」にも不満はなかったのですが、『Z-STAR ♦️(ダイヤモンド)』を打ってみたら、「あ、いいかも」と思ったので替えました。
D-cafe:どんなところに魅力を感じたのでしょうか?
安田:アイアンショットでスピンが多く入って、グリーンで止まりやすい気がします。優勝した試合も、雨でグリーンがやわらかかったこともあるけど、よく止まってくれました。あとは打感ですね。硬すぎず、軟らかずぎず、みたいな打感がいいなと思います。
D-cafe:初優勝して、ご自分の中で何か変化はありますか?
安田:うーん……考え方ですかね。「〝そんなだから勝てない〟みたいなことは言われないで済むな」と思うようになりました(笑)。〝(身体が)細い〟と言われても、「だから太らないといけない」とかも思わなくなりましたし。まあ、昔も今もちゃんと食べているんですけど(笑)、気持ち的にすごく余裕ができました。
D-cafe:優勝したあとの次のステップとして、どんなことを考えていますか?
安田:ゴルフの中身というか、目指すものは全然変わらないですし、今シーズンが終わってもまた来年すぐにツアーが始まるので、前の年を上回る成績を目標にプレーしていきたいと思います。
D-cafe:来シーズンのお話が出ましたが、まだ今シーズンも試合が残っています。
安田:そうですよね(笑)。寒さはちょっと苦手ではあるのですが(苦笑)、まだビッグトーナメントもあるので、1試合1試合楽しみながらプレーしたいですし、また優勝争いができたら、そのチャンスをものにできるように頑張りたいです。
D-cafe:今日はありがとうございました。また、いいニュースが届くのをお待ちしています!
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