住友ゴムグループの(株)ダンロップスポーツマーケティングは、ダンロップブランドのテニスラケット【FX】シリーズ5機種を2020年8月3日から販売します。メーカー希望小売価格は、34,000円+税~28,000円+税です。
開発におけるキーコンセプトでは『圧倒的なパワーを自在に使いこなし、全力で振り切りたくなるパワーモデル』を目指し、ダンロップラケットの新しいカテゴリーが誕生しました。それが「FORCE=フォース」。単純に「力(パワー)」だけではない複合的な攻撃力……その実体化がダンロップ【FX】です。
ダンロップのラケット世界戦略は、コントロールの【CX】、スピンの【SX】と進み、ついにフォースの【FX】に到達しました。どんなプレーヤーだって「パワー」に憧れます。それを欲しがらないなんて、あり得ません。ラケット側から「パワー系」というと、スイング力の足りなさを補ってくれる「パワーサポートモデル」でしたが、今日の「パワー系」は結果に注目して、プレーヤーの全力スイングによって、相手コートを突き抜けるような打球を打ち出すことができるラケットのことを指すようになっています。
「パワーモデルは飛びすぎる」「アウトしないようにコントロールするのが困難だ」と、目を背けるハードヒッターもいましたが、彼らに「快感」はあるのでしょうか?
もしも「アウトなんて気にしなくていい」「フルスイングで戦える」「自分のパワーをすべて発揮できる」というラケットがあったなら、みんな躊躇なくそれを手にするはず……
それがダンロップ【FX】です。
ダンロップ【FX】が生み出してくれるのは「スピード」とか「パワー」とか、使い古された過去の感覚ではなく、自分が実感できる『推進力』と、相手が実感する『圧力』です。
フルスイングしても相手コートに突き刺さるスピードとスピン性能、コントロールのしやすさにつながる柔らかい打球感、これらをバランスよく組み上げたことによって、その潜在能力をどうしても引き出したくなってしまうパフォーマンス。
この3要素の融合によって具現化したのが「FORCE」なのです。ただブッ飛ぶだけのパワーモデルとはまったく違う新しい世界観。自分パワーとラケットパワーを足し算して、持てる力を全開でぶつけられるのが、ダンロップ【FX】と思ってください。
これまでのスリクソン【CV F】シリーズが生まれ変わったのがダンロップ【FX】ですが、もはやその面影はなく、完全に新しいスタイルとして組み上げられました。まず一目で違いを感じるのがまったく新しい形状。フレーム断面形状は「ラウンド型」には属しますが、【CV F】のような楕円型ではなく、楕円を潰して正面をシャープに仕上げています。とくにシャフト部のエッジの利き方は印象的で、「ラウンド型」というよりも「紡錘型」の断面形状です。
もう一つシャフト部の大きな特徴は、くびれが少なくてストレート感が強く、スロートが幅広く開いています。これによってシャフトの捩れを抑制することができ、面の安定性をさらに増し、コントロール性の向上に大きく貢献しています。
次に注目してもらいたいのが……といっても見ることができない部分に隠されているんですが、「グロメットの下部『溝』構造」です。通常、グロメットスリーブはフレーム外側シェルの溝に埋まるように密着していますが、【FX】ではその溝の底に、もう一つの細い溝が設けられました。つまり「二段溝」構造というわけです。
インパクトの瞬間的な力というのはとても強く、ストリングがフレーム外側シェルを内側に引き込むように変形させ、それが戻る力でボール強く弾き出すのですが、【FX】は溝の中にもう一段の溝を設けたことで、外側シェルがさらにたわみやすくなって、反発パワーを増すとともに、打球感をマイルドにすることができました。いまやこの「溝使い」という構造テクノロジーは、ダンロップのお家芸的な技術です。
これら複合的な革新により、コントロール性能を高く感じさせながら、弾き出しパワーを向上させる【FX】が完成しました。現実的な実測値として、コントロール性が従来モデルよりも9%も上がっています。これは銃に喩えると「集弾性が高い」ということを指し、ゲームでは「ここぞの一発!」で感じることができるでしょう。
シリーズラインナップは、100平方インチ:300gのメインモデル【FX 500】を中心に、285gの【FX 500 LS】、270gの【FX 500 LITE】と15g刻み。さらに107平方インチ:265gというパワーアップモデル【FX 700】が揃います。また、より高速なスイングをするプレーヤーのためのツアーバージョンとして、98平方インチ:305gという【FX 500 TOUR】があり、幅広い層のプレーヤーが「全開フルスイング」を体感できるラインナップ構築です。この機会にぜひ、新しい快感テニスの世界へ飛び込んでみませんか!
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それゆけ!『ざっくり相性フォーマット』
〜 プレーヤー & フレーム & ストリング 〜
ラケット選びというのは、最終的には「自分の好み」「どれを選ぼうが自由」なんですけど、そこに到達するまでに知っておいたほうがいいことがあります。それは「フレームとストリングには、おおまかなマッチング傾向がある」です。
購入するときには「フレーム選び」と「ストリング選び」の2つが必要。何も知らずに気ままに選ぶと、チンプンカンプンのラケットになってしまう場合もありますから、それぞれの最低知識は持っていないとね! まずはフレームについて知りましょう。
細かく分ければキリがありませんが、ここではおおまかに中厚以上の「高反発系」と、フレーム厚 20mm前後の「薄ラケ系」とに分けます。高反発系ラケットを選ぶ方は2タイプいて、「ゆっくり振っても楽に飛ばしたい」か「強打でもスピンをかけるとスピードが遅くなる方へのスピード増加」と、まるでスタイルが違うんですが、高反発系の同モデルでも、重量やバランス設定の違いによるバリエーションから選べるようになっています。
逆に薄ラケ系は「しなる感覚が好き」と「振った分だけのパワーで飛んでほしい ≒ 飛距離の制御」を求める方に選ばれます。似たような2者に感じますが、前者は「フィーリング」に着目し、後者は「結果」に着目するという具合に、まるで選択のしかたが違います。
さて、フレームが決まったら「ストリングの選択」ですね。ストリング選びで注目すべきポイントは、「インパクト接触感覚」と「弾き出し速度」、それに「スピンのかかり具合」という3つです。どれを最重視するかは、あなた次第。
柔らかい打球感が好きならば、絶対にポリエステル系を選んではいけません。「耐久性があります」という言葉を単純に捉えてはダメですよ。これは「切れにくい」という意味で、「性能が長持ちする」という意味ではありません。そもそも柔らかい打球感が好きな方は、頻繁にストリングを切るなんてこともないでしょうから、ナイロン系のマルチフィラメントから選ぶのがいいと思います。「とても柔らかいポリ系」という謳い文句もありますが、ポリエステル系はどんなに柔らかくても「ポリはポリ」。これは「ポリの中では柔らかい」という意味なんです。
いっぽう「楽に飛ばせて、スッキリした打球感が好き」という方は、同じナイロン系からモノフィラメントを選びましょう。普通のスイングくらいでは、ポリエステル系で楽に飛ばすのはむずかしいので、性能的に長持ちするナイロン・モノフィラメントがマッチしていると思います。
さて、昨今大流行しているポリエステル系が向くのは、本当にスイングスピードが速く、つねにバッコンバッコン叩ける人! と思ってください。「好きなプロが使っているから」なんて動機で選んではいけません。ナイロン系では数時間で切れちゃうとか、ラケットのパワーがありすぎて打球がコートに収まらないってプレーヤーが使ってこそ、ポリエステル系の真価が発揮されるのです。
ポリエステル系のメリットとしては(あくまでポリ系がマッチしている人の場合ですよ)、スピン性能の高さがあります。「パワフルな打球をスピンで相手コートにねじ込むため!」に必要な性能として、さまざまなタイプのポリエステル系が開発されています。細い糸を編んで作る必要のないポリエステル系は、形状加工や表面加工しやすいという製造上のメリットがあるからです。
角付き型(多角形)・突起型(巻き付け)・ラフ加工型(表面に凹)・スライドバック型(ツルツル)など、それぞれに理由があって「スピンがかかりやすい」とされています。ただし、どんな人が使ってもスピンがかかる!ってわけじゃありませんよ。これらの中でも、スイングスピードやスイング方向などにより、かかりやすさの違いがあります。
どれが自分にマッチするかは、試してみないとわかりませんし、同じ糸でも、太さが違うだけでかかりやすさに違いが出ますから、自分のスタイル、フレームの種類と組み合わせて考え、ベストマッチのストリングを探し続けてください。
ただスピンに関して絶対にあり得ないのは、そもそもスピンのかかるスイングではないのに、張り替えるだけでスピンがかかってくれる魔法のストリングです。そういう方は、スピンを諦めて別のメリットを追求するか、スイング自体を大改革するかを選びましょう。
最後におおまかにざっくりと、フレームとストリングとの組み合わせとマッチするプレーヤーとのマトリクスを紹介しますので、基本的なところで自分が間違っていないかどうかの参考にしてください。
松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。