住友ゴムグループの(株)ダンロップスポーツマーケティングでは、2021シーズン【CX】シリーズのイメージをデザインしたテニス用バッグ群を新規ラインナップします。とくに注目いただいているのが第2世代【CX】シリーズの「レッド&ブラック」を纏った【PRO LINE】です。
同シリーズには、契約プロも使用する大容量トーナメントサイズのラケットバッグから、近所のコートへ通うためのコンパクトサイズのバックパックまで、全5タイプが揃っています。「レッド&ブラック」の鮮烈なイメージで、シンプルながらもダンロップらしい強さを感じさせ「カッコいい」と評価いただいています。
そのなかでもご注目いただいているのが【DTC-2182】というアイテムで、これまでにない新しいサイズ感の「ラケットバッグ」です。さて、いったい何が新しいのでしょう?
まず3つのバッグのサイズ感の違いをご覧ください。いちばん左が契約プロも使用する大型12本収納可の【DTC-2180】(容量:約98ℓ)。真ん中がやや大型の8本収納可の【DTC-2181】(容量:約70ℓ)。どちらもみなさんがイメージするとおりのサイズ感ですが、右端の【DTC-2182】だけ、やけに小さく感じることと思います。
そう、小さいんです。容量は「約45ℓ」。これまでのラケットバッグは、サイドビューはすべて同サイズで、違うのは「厚さ」で、それをイメージしていただくために「◯◯本収納可」という説明句が加えられていました。しかし【DTC-2182】は全体的に明らかに小さいのです。
ミニチュアのアクセサリーではありません。写真どおりのスケール差ですから、小型化されたラケットバッグ……大型のバックパックという感じで、サイズ的には両者の「ハーフ」とお考えいただくといいでしょう。
今日、バックパックにも2つのスタイルがあり、【DTC-2183】のようにラケットが完全に収納できるロングタイプと、グリップは外部へ露出する【DTC-2184】のようなショートタイプ。
【DTC-2182】は、この意味でも「ハーフ」的存在です。長さサイズ的には「ラケットをフルカバーできないバックパック感」ですが、外観的には「グリップを収納してしまうラケットバッグ感」なのです。……「なんじゃそれ?」って思いますよね?
ご理解いただくには、このバッグ誕生の由来と「ある仕掛け」について知っていただかなければなりません。
じつはこの【DTC-2182】、元は「パデル用ラケットバッグ」だったのです。これを見ていた日本のダンロップスタッフが「これ、小っちゃくて可愛いじゃん。テニス用に使えないかなぁ?ジュニア用にも良いかも?」と考えたところからスタートしました。
ご存知のようにパデルはテニスとラケットボール、スカッシュをミックスしたような競技で、使用するラケットのことをダンロップでは「パデルバット」と呼び、長さは「約18インチ」。テニスラケットが「約27インチ」ですから、ちょうど「2/3」の長さということですね。
ダンロップのテニス用ラケットバッグ【DTC-2180】の長さサイズは、最大2インチロング(29インチ=73.66cm)も収納できる「76.5cm」で、その「2/3」ならば「51cm」ってことになりますが、【DTC-2182】は、そこまで小さくありません。長さサイズ:「60cm」あります。
でもテニスラケットは、通常の27インチ=68.58cmですから、8.58cmほど飛び出してしまいます。さて、どうしたものかと考えたダンロップスタッフ……。以前、バックパックにグリップを隠すためのグリップカバーを付属していたことを思い出しました。それを応用したのが、「隠しグリップカバー」(正式名ではありません)です。
通常スタイルでは、ぺコッと内側へ凹んでいますが、ラケットを入れるときにポコッと飛び出して、グリップを包んでくれるのです。このマージンが約10cmなので、「0.5インチロング」までのラケットならば余裕でカバーできます。
ちなみに、ダンロップバックパック【DTC-2184】は、高さ:49cmで、グリップが完全にバッグの外へ露出しますが、【DTC-2182】はそれより11cmも高く、グリップが飛び出すのは10cmほどですから、突出カバーのことも、さほど気にならないレベルです。
もちろん大型ラケットバッグと同じようにショルダーストラップが装備されていますから、しっかり背中に背負えます。バックパックではちょっともの足りず、かといってラケットバッグじゃ大袈裟すぎる……と思ってらっしゃる方に最適なコンパクト型ラケットバッグ【DTC-2182】。ぜひお試しください。
バッグの製品一覧はこちら
https://sports.dunlop.co.jp/tennis/products/bag/
このイラストの打ち合わせをするために、「日本でもっともテニスするイラストレーター」でらっしゃる"もりおゆう"さんと、とある大手量販スポーツ店で待ち合わせ……というのも、テーマがまるで決まっていなかったため、そこでネタ探ししようという魂胆だったわけです。
ちょっと早めに着いて、店員さんに不審がられながらも、店内をウロウロしていて、ふとシューズコーナーで目に付いたのが「テニスシューズの選び方」というアドバイス的なPOP。「いろんなコートでプレーするならオールラウンド用」ってなことが書いてあります。テニスシューズ初級者のための親切だと思うんですが、これを見たら「あぁ、オールラウンド用が1足あればいいわけね!」って思っちゃいますよね。
これで全部イケちゃうならお得じゃん! ……?
でも……
そんなウマい話、あるわけないじゃん!!!
ちょっとヤバいな……って思ったわけです。まぁこの言葉に納得しちゃう方は、おそらく激しいフットワークを駆使する方ではないでしょうから、さほど問題ないと思いますが、上級者までこれを鵜呑みにしてしまうと、気の毒なことになりそうです。
昭和生まれの方ならばご記憶かと思いますが、昔のデパート上階にはかならず「大食堂」がありました。百貨店のコンセプトそのままに「なんでもある!」わけです。でも今どきのデパートには「専門店」が軒を連ね、大食堂はありません。美味しい「専門店」を選んで入るという認識に変わってきたからですね。専門性の高さが評価された結果です。
でもいっぽうで「コンビニ」があります。みなさん「コンビニが最高」と思っているわけではなく、近くにあって、いつでも開いてるから、スーパーより値段がはるかに高くても便利だということで、みなさんが利用するわけでしょ。
最高じゃないとわかっていても、「便利だから」のほうがまさっちゃうわけで、それはそれで「選択している」わけだからいいんです。問題はテニスシューズで、「オールコート用=すべてに十分」と思われちゃうと困るってことです。だったら「オムニ/クレーなんて必要ないじゃん」。
正直なところ「オールラウンド=すべてに六分」くらいに思っておきましょう。3種のサーフェス「合わせて十八分」ってわけにはいかず、基本的に「オールラウンド用はハードコート用」と考えるのが正解です。ただ急にオムニコートでプレーすることになっても「なんとか対応できるかも」ってのが「オールコート用」と心得るといいですね。
ところがです……ちょっと前までは「いやいやこれは、オムニじゃ怖くて使えないでしょ」がほとんどだったのに、最近は「たしかに全コートで汎用性が高そう」と思われるオールコート用が増えてきました。たとえばダンロップの新作【ランチャージ オールコート】ですが、このソール設計は「面としてハードに対応・溝としてクレー/オムニにも対応」と言えるものです。
よく見ると、溝の波ラインがきれいな曲線ではなく、まるで下手な手作業で彫ったみたいに不規則にカクカクしています。でもじつはこれ、緻密に設計されたもので、ちゃんと規則的に曲がっています。言うなれば「直線の組み合わせ」で、どの方向に対しても「90度になる直線」があり、単純な直線や曲線よりも、グリップ性能が高くなるという高度な設計思想なのです。
べつにオベンチャラで言っているわけではなく、事実、けっこう使えます。これまでハードコート用には「少ない溝」が常道でしたが、いまテニスシューズ界全体が変わってきているんです。ある意味、本当にオールラウンドに近くなってきているような……
コンビニだって、ただの「現代風よろずや」ではなく、オリジナルでけっこう高品質なものを開発して話題になったりするじゃないですか。もちろんコンビニより専門店、オールコート用よりも専用モデルのほうがクオリティは高いですけど、わかって使うなら、問題ないレベルです。
そう……「わかって使うなら」が肝心なところ。自分にとって「なにが? どれくらい必要か?」を理解したうえで、それぞれのシューズの個性をよく見て、確認して選んでください。テニスシューズって、「これでいいじゃん」で決められるほど、安いものじゃありませんから。
松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。