2021/05/31

ダンロップメンバーズテニスメルマガ 2021 5月号

住友ゴムグループの(株)ダンロップスポーツマーケティングが、1961年(昭和36年)から長きにわたって販売してきたテニスボール【ダンロップ フォート】が、2021年に「販売開始60周年」を迎えました。安定した品質を保ち続けるため、ダンロップは60年間、厳密な製造姿勢を心がけ、普通ではない製造工程の困難さや高度な品質管理体制について、つねに前向きに取り組んでまいりました。これからも、「変わらぬ安心と信頼」を日本のテニスプレーヤーのみなさまにお使いいただこうと努力を続けてまいります。

さて、数あるスポーツの中で、テニスはなかなか多種の道具を使う競技です。ラケットフレーム、ストリング、シューズ、グリップテープ……そして重要なのが「ボール」です。ラケットもシューズも、自分だけが使うものですから、それぞれ個人が好きなものを選んで使うことができます。

しかし、テニスコートとテニスボールは、そういうわけにはいきません。テニスコートのサーフェスは多種あれど、試合をするプレーヤーは同じコートに立ちます。しかも、2ゲームごとにサイドチェンジして、「試合環境の公平さ」を保つルールがあります。そしてテニスボールは、「共通の道具」として、互いに打ち合うものです。まぁ「球技」としてはそれが普通で、自分のボールを用意できるゴルフやボーリングのほうが特殊かもしれません。

もちろんみなさんがご存知のとおり、テニスボールはどれでも同じというわけではありません。国際公式ルールで規格が定められてはいるものの、それには「許容範囲」があり、その範囲内であれば認められるのです。ボールの直径の認定範囲が「約3.2mm」、ボール重量は「3.4g」以内であれば、合格基準内ということになりますが……裏を返せば、直径が3mmも違っていても、同じボールであると認められてしまうことになります。

日本人というのは、こういったことに対して、おおざっぱでいられる国民性を持ち合わせておりません。同じ名前で販売されるならば、あくまでも「同じ」であるべきだ! それが日本人ですね。わたしたちダンロップも、もちろんそう考えます。この気持ちが【ダンロップ フォート】を「別格のボール」に保たせてきました。

「厳格に同じであること」「昔も今も同じであり続けること」……いや、むしろ「もっと高い精度を目指すこと」を心に掲げて、われわれは本物の高品質を提供し続けています。この機会にもう一度、【ダンロップ フォート】に注目して、「ダンロップのまごころ」を知っていただきたいと思います。

テニスボールの基本的な話をちょっとだけしましょう。テニスボールは、大きく2つの素材的要素で構成されています。まず「コアボール」といって、真球を2つに割ったゴム製の半球を貼り合わせて作られるものが、ボールの反発性能を支えます。その反発性を、「コアボール自体のゴムによる弾力性」だけで得るのが「ノンプレッシャーボール」といい、ゴム球のシェルは厚くて、打球感はやや硬めに感じられますが、反発性は長く保つことができます。

それとは別に「プレッシャーライズドボール」があり、みなさんが主にお使いになるボールがそれで、もちろん【ダンロップ フォート】も、このタイプのボールの代表的存在で、反発性能を「コアボール自体のゴムによる弾力性」+「コアボール内に封入した気体の圧縮→復元力」によって得るもので(【ダンロップ フォート】では約1.8気圧)、コアボール内の気体が抜けていくと反発性は低下しますが、打球感はマイルドで、手応えは軽くなります。

そしてもう一つの要素が、コアボールを覆い包むフェルト状の「メルトン」……黄色くてモジャモジャのあれです。あらゆるスポーツの中でも、モジャモジャで覆われたボールを使うのはテニスだけであり、これには重要な役目があります。

1. コアボールの保護
2. 打球感覚の快適さ
3. イレギュラーバウンドの緩和
4. 打球弾道の安定
と、4つの機能がありますが、【ダンロップ フォート】はすべての機能について最高の結果が得られるよう、60年間も研究、性能維持に努めてまいりました。

どのボールも外観はまるで同じに見えますが、素材選択、製造工程、検査精度など、さまざまな選択肢があり、どのレベルを選ぶかによって、できあがるボールはずいぶん違っているのです。世界各地から高品質な材料を調達し、手間はかかっても上質で安定した結果を得られる製造工程・製造方法をあえて選び、オートメーション化の中にも手作業に近い検査、検査項目の多さ・厳密さでは、【ダンロップ フォート】というのは、まさに別格のボールとして作られています。

「テニスボールは【ダンロップ フォート】が基準」と言われるほど、みなさまに愛され続けた理由がそこにあります。「基準」は、越えることができません。新しいモデルのボールがどんどん発売されていますが、【ダンロップ フォート】ほど高い精度を誇るものを見つけることはできません。

【ダンロップ フォート】はまた、ずっと変わらないことを運命付けられています。週末にクラブでゲームをするとき、みんなが納得して選ぶのが【ダンロップ フォート】でした。世界のプロツアーが、軽くて高速なボールを選んでも(ダンロップには【AO】【ATP】があります)、【ダンロップ フォート】がなくなることはないでしょう。

総じてラケットフレームの剛性が上がり、軽量化も進み、ストリングも硬いものが増えて、身体への打球衝撃が増す傾向にあるなか、優しく、高精度で、高品位のテニスボールは、さらに求められるようになるでしょう。そんなときにはぜひ【ダンロップ フォート】をお選びください。「そうそう、やっぱりこれだよね!」の笑顔をお届けできるよう、『国民のボール』は還暦を越えて、さらに歩み続けます。
(近々に【ダンロップ フォート】の特設ページがアップされますので、そちらもご期待ください)

詳しくは下記画面をクリックしてください。

「今年は残念だけど、来年は!」と言っていたのは……、なんと一年前。
まさかこんなに長引くとは誰も思っていなかったでしょう。しかもその威力はどんどん増し、重ねての緊急事態宣言発令。ふたたびクローズするテニス施設もあり、満面の笑顔でテニスを楽しめる日々は、未だ帰ってきません。

昨年は、あらゆるスポーツで大会や試合が中止され、多くの志が挫かれることになりました。それでもなんとか再開された試合だったのに、またも危機に見舞われています。テニスは基本的に屋外で行なわれ、相手との間にはアクリル板ならぬ「ネット」がありますから、十分なソーシャルディスタンスは保てるわけで、コンタクトスポーツなどに比べればはるかに心配の少ないスポーツですが、競技としてはノー・コンタクトでも、コートに集まることには違いありません。

ここはひとつ、世間が早く完全に元に戻るために、われらもじっと耐えましょう。「ちょっとなら……」は、もう「非常識」と言われる世の中です。ならば「テニス好き」たちよ、この機会を利用して、テニス道具の点検・整備・見直しをしましょう!

まず、ラケットバッグからラケットを取り出し、フレームに汚れがないかをチェックし、汚れがあったら布で拭き取り、それでも消えない汚れがあったら、アルコールや揮発性の溶剤を布に付けて擦ってあげると、かなりきれいになります。

次はグロメットや、フレームトップのバンパーガードをチェック。フレームの内側に飛び出したグロメットの筒に亀裂はないか? グロメット孔の中に、砂などが詰まっていないか? を確認します。もしも亀裂があると、そこからさらに裂けて、ストリングがフレームの孔に直接に接触することになります。フレーム側の孔の角は鋭角ですから、ストリングはあっという間に切れてしまいます。この場合、基本的には「グロメット交換」です。応急処置法もありますが、それはあくまで応急の措置。張ったばかりのストリングを切らないためにも、ここは思い切って、グロメット交換してもらいましょう。

グロメットに砂などが挟まってしまっていたら、先の細い目打ちなどで除去してみてください。できなければ、思い切って張り替えてしまいましょう。危機が去って、試合が続くようになると、なかなか張り替えのタイミングを逃してしまいがちです。この時間を利用して、張り替えておくのが安全です。

そして「グリップ」です。ときどき、表面のウレタン層が摩滅しただけでなく、基布が剥き出しでボロボロになった「テープの残骸」が巻かれているのを見かけることがあります。グリップテープは洗濯することができません。そもそも「消耗品」ですから、グリップ力が薄れかけてきたな……と感じた時点で、さっさと巻き替えちゃいましょう。わずかな出費で、あなたのグリプ環境は一新され、爽やかな気分でプレーに臨めます。

また、グリップを握った感じが硬くなってきたと感じたら、グリップテープだけでなく、その下の「元グリ」も交換しましょう。普段はテープに隠されているためにわかりにくいですが、汗が染み込んで雑菌がたまり、不衛生になりがちです。それにテープを巻いても「クサいものにフタをする」だけです。これも巻き替えてしまいましょう。

そして「シューズ」です。最初にチェックしなければならないのは、ソール底面の「溝の減り具合」です。シューズも消耗品ですから、自動車タイヤ同様に摩滅します。シューズの命とも言えるグリップ力がなくなったまま使っていては、いずれ事故(ケガ)を起こしかねません。まさに「転ばぬ先の杖」と、新しいシューズに買い替えてしまいましょう。

次に「クッション感」を確かめます。クッション感の低下は、連続的に履いてきたシューズでは、とても感じにくくなっています。まずシューズ内の「インナーソール」を取り出して、ペッチャンコになっていないか確認です。かなり潰れていたら、ミッドソールもそうとうやられていると認識してください。

また、アッパーに穴があいていたり、裂けた部分がないかチェックです。それらが大きくなると、安定性を欠いて、危険が場面を迎えることになるかもしれません。テニスショップでは、試合がないと、シューズの買い替えがグッと落ち込みます。プレー再開のとき、万全の準備を整えて、確実なフットワークを支えるのです。

わたしたちみんなの努力と忍耐で悪魔を追い払い、晴れやかな笑顔でコートに立てる日を迎え、爽快な汗をかいた後は、満面の笑みをもってビールジョッキで乾杯です!

松尾高司氏

松尾高司氏

おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。