住友ゴムグループの(株)ダンロップスポーツマーケティングは、従来の【SRIXON HD】をリニューアルした【DUNLOP HD】を新発売いたしました。練習球に求められる要素を再検討し、お客様の期待に沿うことができる新時代練習球として、インパクトある製品に磨き上げましたので、どうかお試しいただきたく思います。
ダンロップには還暦を迎える【DUNLOP FORT】というテニスボールのスーパースターがありますが、そのフィーリングを練習球に仕立てた【DUNLOP St.James】が大人気で、「質の高い打球フィーリングを練習球にも期待」されるスクール、部活、サークル、クラブなどで数多くご使用いただいています。
ダンロップではそれだけに満足することなく、「テニス練習球に求められている要素」を徹底再調査し、その結果「耐久性」に強い期待感があることを再認識しました。【DUNLOP FORT】は最高のテニスを楽しむための「質」を求めるプレーヤーに定着していますが、できるだけ長く使いたい「練習球」には「耐久性」が重要なのです。
そこで打球感重視の練習球【DUNLOP St.James】を、コアボールのマイルドな弾力性を活かしつつ、コアボールのゴムに「扁平タルク」を混入し、内圧気体が漏れにくくして弾力耐久性をアップした【DUNLOP St.James Premium】を発表し、その狙いどおりの評価をいただいています。プレミアムですから、ちょっとだけお値段は高くなりますが、使用耐久性が「1.5倍」になるのであれば、結果的にお得じゃないかとご理解いただき、徐々に利用いただく方が増えています。
そして【SRIXON HD】の改訂版である【DUNLOP HD】では、【FORT】や【St.James】で好評を得ている「マイルドな打球感」「擦り減りに強くて毛羽立ちにくい」という個性に着目し、おもに「不織布フェルト」の改良によって実現したのです。
ひとくちに「テニスボールの耐久性」と言いますが、その性能構成要素は多岐にわたります。まず「コアボールの内圧」ですが、コアボール内に封入された気体が抜けるとボールが柔らかくなって弾力性が落ちるので、『中の気体が抜けにくい』ということが一つ。
いっぽう、これまでの【SRIXON HD】では「不織布フェルトの耐久性」が際立っていて、たしかに砂入り人工芝では擦り減りにくく、カーペットコートでは毛羽立ちにくいという恩恵はありましたが、織物フェルトに対して不織布フェルトは伸縮性が低いため、「打球感が硬い」「飛びすぎてコントロールしにくい」などの不満もありました。
そんなデメリットを「新しいフェルト技術」で改善したのが、新【DUNLOP HD】なのです。やるならば徹底的にやらなければなりません。「伸縮性が低い」ことがデメリットに繋がっていた不織布フェルトについても、ダンロップボール開発陣は見直しを開始しました。
従来使われていた不織布タイプのフェルトについて、伸縮性の高いフェルトを採用しました。「伸縮性の高さ」は、乾いた印象があったインパクトを「しっとり系」に寄せて、さらにその厚みも増すことで、打球フィーリングの柔らかさを増幅しました。また同時にフェルト自体の耐摩耗性も向上という結果も得て、これまでのイメージとはかなり違う練習球【HD】が誕生しました。
こうしてダンロップには「2種類の新しい練習球」ができたわけですが、「結局、どう違うのよ?」とおっしゃる方が多いかと思います。開発陣による苦心の結果、【DUNLOP HD】は正直言って、従来よりもかなり「コントロールタイプ」に近付いたのは事実ですが、スピード系の域から脱してしまったわけではありません。
あくまで【DUNLOP HD】は「スピード系練習球」! そして【DUNLOP St.James Premium】は「コントロール系練習球」です。どのように使い分けるのがいいかを提案させていただくなら、まず、競技を重視した練習、ハイスピードテニスに対応する練習ならば【DUNLOP HD】。そして、初級から上級まで上達を目指すレッスンや練習には【DUNLOP St.James Premium】というニュアンスで試してみてください。
そうしてみて、「もっとスピードを!」「よりコントロールを!」という場合は、もう一方の練習球を試してみてください。みなさんの期待は、「どちらかのボールを使う」ことで叶えられるはずです。ダンロップ練習球は、以前よりもはるかに選びやすくなりました!
今これをお読みいただいているみなさんのほとんどが「テニス好き」ですよね。
一つ質問させていただきたいのですが「テニスのどんなところが好きですか?」
もはやテニスは、目的に至るための単なる手段じゃないかっ! というケースもありますが、まぁそれでもいいっか(笑)。テニスのことが好きならばね。
ただせっかくテニスが好きなんですから、テニスのいろんな側面を知ろうしてしてみてください。本当は健康のための趣味として始めたのに、勝負という側面だけにハマりすぎ、ひらすら相手に勝つことに執着するだけになってしまっては、ストレスが増し、いろんなことに不満を覚えるようになったりして、精神的に健全ではなくなります。
海外では、もっと豊かにテニスを楽しんでいる方々を目にします。ヨーロッパのビッグトーナメントでは、プロの試合を見るというだけではなく、「その場に身を置いている自分」を満喫している方が多いですね。ようするに『お祭り』なんです。プロテニスというエンターテイメントを中心とした周辺まるごとを愉しんでいる空気感があります。
試合を観て、終わったら帰る……じゃなくって、たとえばちょっと早めに出かけて、人気(ひとけ)のないコートや観客席を見つめたり、コートのメンテナンスや試合前の準備をする人たちの姿を眺めたり。コートサイドのボックス席ではワイングラスを片手に、ボールを追いかけずに片方の選手をずっと見守ったり。
残念ながら、日本にはそんなふうに楽しませてくれる大会はありません。お金がもっと豊かに集まれば、ビッグイベントにできるんですけどね。近年では2008年の『AIGジャパンオープン』は特殊でした。有明の広場中央ではビールメーカーのテントが大繁盛し、たくさんのフード出店があり、各席ではテニス談義に花が咲いて、まさにテニス祭でした。……でもそんな大会は今はありません。
もう自分自身で自分なりのテニスの愉しみ方を見つけましょうよ。パブリックコートの利用時間になったら集まって、終わったらサッサと帰る……ではなくて、そのあとみんなでお茶をしにいくとか、誰かが新しいラケットを持ってきたら、それを借りて打ってみるとか。テニスショップへ通って、店員さんからいろんな情報をもらうとか。
興味のある道具のコレクションというのも楽しいものです。ビンテージラケットを集める人はけっこう地味にいますが、ボールだけを集めているとか、雰囲気のあるテニスコートの写真やイラストレーションを集めているというもっと地味な方もいらっしゃいます。
そんなことをしていると、ただ集めるだけでなく、テニスの歴史や道具の歴史にもしだいに深く触れることになります。そこから、自分が知らなかったことに驚いたり感心したりと、面白さはさらに広がります。なぜ昔のラケットはフェイスが曲がって付いていたのかとか、さらには道具の壁を越え、どうしてネットのセンターだけ低くなっているのかとか、知識は豊富になり、仲間との話題にも事欠くことがありません。
マニアックでいいじゃないですか。フェチって揶揄されるのがなんですか! 大きなお世話ですよ。テニスの周辺には、もっともっと遊べるネタがごろごろ転がっています。
お気付きになった方もいらっしゃると思いますが、この原稿では『楽しみ』と『愉しみ』を使い分けています。『楽しみ』は心が浮き立つ感情を指し、『愉しみ』とは、力を抜いた状態での「喜び」に近い、和らいだ気持ちで受けるたのしみという意味を持ちます。
「楽しい」というのは受動的な感情を表わし、「愉しみ」は、能動的にたのしもうというニュアンスです。ですから「テニスの愉しみ方」をもっと広げてください。鉄道マニアには「乗り鉄」「音鉄」「撮り鉄」など、いろんな「……鉄」がいますよね。テニスにもいろんな愉しみがあります。
テニスは「運動」「競技」「ファッション」「社交」「蒐集」など、あらゆる方向性を持った『文化』です。せっかくテニスをするんだったら、いろんなテニスを愉しみましょうよ。
松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。