住友ゴムグループの(株)ダンロップスポーツマーケティングは、テニスを中心としたラケットスポーツを展開し、ダンロップをご愛用くださるテニスプレーヤーのために、「ご満足いただける製品を届けたい!」「快適なテニス環境を整えるお手伝いをしたい」という心で、あらゆる製品を開発しています。今回はダンロップ製品の支柱であるテニスラケットで大幅に進化したニューアイテムが完成しましたので、それについてお知らせします。
ダンロップラケットには「4つの柱」があります。ダンロップ伝統と信頼のコントロール系【CX】シリーズ。マイルドなスピン性能で安定した攻撃力の【SX】シリーズ。非力な方でも快適にハイレベルテニスを楽しめる【LX】シリーズ。この3本柱に加わった「パワー&スピード系モデル【FX】シリーズは、【F】の文字が示すとおり「フォース(攻撃力)」を基幹能力とするファイタースタイルのラケットです。
誕生以来、第二世代となる【FX】シリーズは、「飛びパワー」を増幅させつつ、コントロール性能を向上させるという「夢の領域」へ足を踏み入れたのです。「パワー&コントロール」という言葉はよく使われますが、実際に「両立」を体感させられるように仕上げるのはきわめて困難なことです。パワーを増幅させれば、瞬間的なレスポンスが速くなり、それだけコントロールしにくくなってしまいます。
そのジレンマを解消する夢のシステムが『POWER BOOST+GROOVE』。通常、フレームの外側には、ストリングが通るための溝が設けられ、そこにグロメットが埋め込まれるわけですが、前作【FX】では、その溝の底に「もう1段の溝」が刻まれました。
これができたことによって、フレームの外側シェル(フレーム断面図の上半分)がインパクトポイントへ向かってたわみ込みやすくなりました。この「たわんで→戻る」という外側シェルの動きが、全体剛性の高い高反発系フレームに、さらなる飛びパワーを与えたのです。
この効果に着目した開発陣は「もっと劇的にできないか?」とテーマに挑んだのが「グルーブを深く掘った(20年より約50%深い)」形の『POWER BOOST+GROOVE』なのです。これによって、フレーム外側シェルのたわみ量は従来より大幅に増し、ストリングがインパクトポイントへ向けて引き込まれやすくなりました。
そのおかげで「打球を包み込む感覚」が増して、インパクトでのコントロール性能が向上します。大きくたわんだ外側シェルは、次の瞬間に元へ戻ろうとし、内側へ引き込まれたストリングを強力に外側へ引き戻そうとします。このときに爆発的な反発パワーが生み出されるのです。
テスト段階でも、打球感はマイルドになり、ボールホールドのフィーリングが増し、さらに弾き出すパワーが増加するという変化に、ダンロップスタッフは驚き、開発陣は自信を深めました。性能向上化においては「どこかを顕著化するためには、他のどこかを我慢しなければならない」ものですが、『POWER BOOST+GROOVE』ではどこにもマイナス点がない……『#ガチ進化』と色めき立ったのも致し方ないことでした。
ここで忘れてならないのが「ダンロップの優しさ」です。ダンロップラケットは「打球感がマイルド」というのが伝統となっています。【FX】シリーズは高反発系フレームですから、フレーム物性的にどうしても「硬く」なるのですが、『FRAME STIFFNESS ADJUSTMENT』によりシャフト部・フェイス部ともに硬さを調整し、
喰いつき感を向上。よりマイルドな打球感を実現できています。
もちろんダンロップラケットのお家芸とも言える『SONIC CORE TECHNOLOGY』には「Infinergy®」(インフィナジー)を搭載。フェイス部の面安定性を向上させ、衝撃や振動を軽減することができ、無駄なフレーム挙動のために消費されてしまうエネルギー漏洩を防止。打球性能をアップさせると同時に、エネルギーを打球パワーへと結び付けます。
かつて「総合性能」において、ここまで無駄なく磨き上げられたモデルがあったでしょうか……
2023年、ダンロップの『青いヤツ』に注目してください。
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「楽しいテニス」もあれば「ツラいテニス」もあるでしょう。そもそも現代テニスは『英国中流階級の遊戯』として発展しましたから、本来は楽しむためのもの。でも「競技の道」を選択した瞬間から「楽しい」だけではすまなくなります。
『観るテニス』が好き という人もいます。プロテニスは、熾烈な競技でありながら、その卓越した力と技を披露することで観客を喜ばせる興行でもあります。しかし、その舞台に上がるためには、選ばれた者に与えられた才能をさらに磨き、人並みはずれた努力の積み重ねが必要です。そのために彼らが犠牲にしなければならないことは、山ほどあるでしょう。
世間が「21世紀だ」「ミレニアムだ」と沸いていた頃、ある楽曲が超話題になりました。
「ナンバーワンにならなくてもいい もともと特別なオンリーワン♪」
この歌の流行を助長するように、世間では「ゆとり教育」なるものが実施され、「競い合わない育成」が正しいという風潮に支配されます。日本じゅうが「競い合うことは愚かなこと」みたいな雰囲気に、小学校の運動会での徒競走では「順位を決めずに、みんなで手を繋いでゴール」するみたいなニュースも流れました。順位を付けられたくないオトナたちが、自分たちに都合のいいように誤解し始めました。
だったら最初から、徒競走なんかやらなきゃいいのにねぇ(笑)
でもね、徒競走は立派な教育なんですよ。子供に「競う」ということを学ばせる、人生最初の機会なんです(お受験とか、特殊な事情のことは忘れてください)。
「ゆとり教育」は、必死に勝とうとすることが「バカみたい」という目で見る「褪めた世代」を生むことにもなりました。夢いっぱいだった「ゆとり教育」法案は、学童の学力低下を招いただけではなく、その危機感が逆に「非ゆとり教育エリート化」も招き、教育の二極化という問題も生んだため、結局、わずか9年で廃止されて、手のひらを返すように「脱ゆとり教育」が実施されます。
当時、いろんな会社で話題になったのが……
「来年から、ついにゆとり世代が入社してくる」というひそひそ話。「競争」を教えられずに育てられたゆとり世代は、企業の競争論理も理解せず拒否するだけ。「しなくていい」って教えられてきたもんね〜。その上司は悩み、大きな社会問題となったのでした。
「ナンバーワンにならなくていい♪」は「競い合うことの無意味さ」を歌うわけではないんですよね。
「競い合うから楽しい」……それがテニスの原点でしょ。プロじゃないかぎりは、勝利に執着しすぎるのも問題だけど、ポイントを取ったり取られたりするから面白いんじゃないの?
お正月の「すごろく」「羽根つき」だって、勝ったり負けたりのゲームでしょ(今どきしないだろうけどさ)。なのに「おててつないでゴールだよ!」って、すべての競技スポーツを否定することじゃない?
オリンピックは「参加することに意義がある」って言った人がいるけど、オリンピックに参加するには、国内の熾烈な戦いを勝ち抜いて「日本代表」にならなければならないことを、お忘れじゃありませんか? みんな死にものぐるいで戦い続けるんです。
「参加することに意義がある」んじゃなく、
「負けたっていい……戦おうとすることに意義がある!」んでしょ。
それで人間は戦うということの意味を学習し、歓びや悲しみということも覚えるんです。
どんなぬるま湯で育てられようが、社会に出れば「戦いの日々」に身を投じなければならなくなります。
戦わなくてもいいんですよ。「ゲームは好きじゃない」という一般プレーヤーだって、少なくありません。「ボールを打つのが好き」「強くなるより上手になりたい」というテニスだってあります。空手で言えば『型』ですね。自己鍛錬です。いいじゃないですか、それだってテニスです!
ただね…… たまにはゲームを楽しみたい。「プチ戦い」ですよ。
「戦わない」という人でも、なにかのときに「戦える力」だけは、身に付けておきたいですね。
松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。