住友ゴムグループの(株)ダンロップスポーツマーケティングは、テニスを中心としたラケットスポーツを展開し、ダンロップをご愛用くださるテニスプレーヤーのために、「ご満足いただける製品を届けたい!」「快適なテニス環境を整えるお手伝いをしたい」という心で、あらゆる製品を開発しています。
今年も「全豪オープン」大会公式球として「Dunlop Australian Open」が使用され、会場内でもさまざまなイベントが催されました。
昨年11月に開催した「2023 DUNLOP ROAD TO THE AUSTRALIAN OPEN JUNIOR SERIES in Yokkaichi」で優勝した2名のジュニアが「全豪オープンジュニア」本戦に出場。1回戦厳しい戦いとなりましたが、世界トップ選手相手に堂々としたプレーで大健闘しました。今後もジュニアが世界へ挑戦する機会を与え、ジュニアたちの今後の活躍・発展をサポートしていきます。
富田悠太選手 全豪オープンジュニア1回戦
(敗退)Iliyan Radulov[2]6-4,4-6,2-6
辻岡史帆選手 全豪オープンジュニア1回戦
(敗退)Lavinia Morreale 6-7,1-6
レジェンドのロッド・レーバー氏をお招きし、ダンロップのイベントとしてファンとQ&Aを行いました。たくさんのメディアとファンが駆けつけ、イベント内ではサインボールをプレゼントするなど楽しいひとときとなりました。
※ロッド・レーバー氏は、2度の年間グランドスラムを達成した名選手。皆さんもご存知のとおり、全豪オープン会場のメインアリーナには『ロッドレーバーアリーナ』という名前がついています。
今年英国でのダンロップテニスボール生産開始から100周年を迎えます。これを記念して、ダンロップ100周年をPRする装飾や看板が設置されています。
今年からダンロップラケット「CX200」を使用しているジェンソン・ブルックスビー選手(米国)が第2シードのルード選手を破り3回戦進出。前哨戦でもベスト4に入るなど、今シーズン好調な滑り出しです。
2回戦:J.ブルックスビー 6-3,7-5,6-7,6-2 C.ルード[2]
ワイルドカードで本戦から出場した地元オーストラリアのアレクセイ・ポピリン選手。2回戦で第8シードのフリッツ選手を破り、3回戦進出。前哨戦でもベスト8に入り好調です。今年からダンロップラケット「FX500 TOUR」を使用。
2回戦:A.ポピリン 6-7,7-6,6-4,6-7,6-2 T.フリッツ[8]
予選決勝で敗れたマイケル・モー選手(米国)ですが、ラッキールーザー(LL)で本戦入り。LLのチャンスを生かし2回戦で第12シードのズべレフ選手を破り話題になりました。
2回戦:M.モー[LL]6-7,6-4,6-3,6-2 A.ズべレフ[12]
車いすテニスでは、上地結衣選手が単複決勝に進出。シングルスは、長年のライバルである、デ・グルート選手にフルセットの末敗退、準優勝となりました。
ダブルスは同じくダンロップ契約プロで今大会第1シードのアニーク・ファン・クート選手(オランダ)がディーダ・デグルート選手(オランダ)と組み優勝。上地結衣/朱珍珍(チュー・チェンチェン/中国)組は準優勝となりました。
【シングルス】
デグルート[1] 0-6,6-2,6-2 上地[2]
【ダブルス】
デグルート/ファン・クート[1] 6-3,6-2 上地/朱[2]
このように、全豪オープンでは、あちこちで【DUNLOP AO】を楽しんでいただくことができました。
盛り上がったのはメルボルン市内だけでなく、オーストラリアの各地にあるスポーツショップで、AO期間中に【DUNLOP AO】をアピールするディスプレイが見られました。
2023年にテニス事業へ参入して100周年を迎えるダンロップの新しい試みとして、全豪オープンとのコラボ企画の1つとして「100周年記念黄金ダンロップボール」を作りました。この黄金に輝くボールは「2023 AO」のデザインで、ロッド・レーバー氏のサインも入っています。でも実はこの黄金ボールは、「実在しません」。仮想空間にデザインされたデジタルアートなのです。
もしかしたら若者のみなさんは、その言葉さえ知らないかもしれませんが「サーブ&ボレー」「オールラウンドプレーヤー」など、観戦していてじつに楽しい「スタイルのバリエーション」があったものです。
古くはロッド・レーバー、ジョン・マッケンロー、ステファン・エドバーグ、パット・キャッシュ、そしてボリス・ベッカー、ゴラン・イバニセビッチやピート・サンプラス。長きにわたって戦い続けた鈴木貴男選手もそうでした。彼らはみな「サーブ&ボレーヤー」と呼ばれ、ドッカーンとサーブを打ち込んで、リターンが返ってくる前にネット近くまで走り込み、ボレー一発でポイントを決めてしまう、きわめてスピーディーなプレースタイルだったのです。
そして、スタイルの違う同士の試合というのが、じつに面白かったし、会場もおおいに盛り上がったのです。「ベースラインプレーヤー対サーブ&ボレーヤー」という対戦は、まるで「他流試合を観るよう」で、楽しかったですね。
サーブ&ボレーはファーストボレーの一発で勝負する、いわば「居合い抜き」戦法。対するは、まるで前に出ようとしないベースライナーで、パンパンパンパン刀を振っていく「根気勝負型」。ときにはダイビングボレーあり、スーパーショットあり、見事なスマッシュあり。それをベースライナーが鋭いパッシングショットで抜いてみせる鮮やかさ。ですから観客は、否が応にも興奮します。ドキドキします。手に汗を握ります。
ところが今のテニスは、お互いがベースラインでの打ち合い。たしかにショット自体は強烈ですが、「単調」なんです。昔だったら「んっ、練習してるの?」って言われちゃいます(笑)
さて、どうしてこうなってしまったのか?
あくまで筆者の持論ですが、「ラケットの性能進化のせい」ではないでしょうか。もちろんプレーヤー自身の体力向上や努力の成果もあるでしょうが、ラケットの反発性能が飛躍的に進歩してしまったことが、最大の原因と考えられます。
まず「サーブの高速化」によって、「ネットまで詰める時間的余裕」がなくなっちゃいました。自分のサーブの強烈さゆえに、サーブ&ボレーができなくなっちゃうという、じつに皮肉な話。
さらに「リターンの強烈化」が、「ネットに詰める時間」を奪います。昔は「サーブのリターンはスライスで確実に返せ!」と教えられました。リターンがゆるゆるのスライスだったから、サーバーにはネットまで詰める時間があったんです。
ところが今は、無理してネットに出たところで、十分に前へ詰められず、サービスラインあたりの中途半端な位置でリターンに対抗しなければなりませんね。そんな後方位置で打たなければならないボレーに、決定力なんてありません。切れ味よく「スッパーンッ!」決まるから成り立つプレースタイルなんですから……。
また友人はこうも言ってました。「ラケットの進化がサーブを劇的に速くしたのに対して、ボレーにはそんなに影響がないからちゃうかな」と。たしかに「一理あり」ですね。いろんな相乗効果で、サーブ&ボレーというスタイルはまるで、あるとき突然に恐竜が消えてしまったかのように、ほぼ壊滅状態になりました。
それから「シューズの進化」もあると思います。捻挫を怖れずに、左右へ激しく踏み込めるシューズができるようになったから、ベースラインでの戦闘能力が増しました。それに時間軸で見ると、今日、一般的に言われる「安定型シューズ」が擡頭し始めた時期と、ベースラインスタイルが主流になり始めた時期とが、ピタリと重なるんです。
もうね、サーブ&ボレーを復活させるためには、野球界みたいに「プロのラケットはウッド製」にするしかないですね!
まぁ、いまさらウッドのラケットを作る工場を作るのがたいへんですけど……。
松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。