住友ゴムグループの(株)ダンロップスポーツマーケティングは、テニスを中心としたラケットスポーツを展開し、ダンロップをご愛用くださるテニスプレーヤーのために、「ご満足いただける製品を届けたい!」「快適なテニス環境を整えるお手伝いをしたい」という心で、あらゆる製品を取り扱っています。
フレームのような低い周波数や、ストリングのように高い周波数に対応するそれぞれの振動減衰設計を有しています。周波数領域を考えて、それぞれの周波数に対応する減衰設計であるといえます。前者はフレームのマトリクス樹脂に工夫することが多く、後者はストリングに接触する部分を調整することが主流です。従って、フレームの振動減衰性の高いダンロップラケットでも、さらにストリングの振動も抑えたいというプレーヤーのため、ダンロップでは2タイプの振動止めを用意しています。
いまや「ラケットの必要パーツ」かのごとく装着されるようになった「振動止め」。むしろ「付けていない」のを見つけるのがむずかしいほど、みなさん装着されています。ひとむかし前には、ラケットに「デフォルト」で付属されていたこともありました。
そもそも振動止めの原型は1980年代にラケットの付属パーツとして開発され、ダンロップも振動対策については世界の先駆的ブランドです。
当時から【DP】シリーズが人気でしたが、1986年に発売した【VA-1】【VA-2】というラケットには、ラケット側にラバーダンパーが固定装着されていました。
そもそもダンロップラケットは「振動減衰性が高い」と認知され、1980年代以降、現在に至るまで「振動対策」「マイルド感」をブランドイメージとしてきたメーカーです。ですから、振動止めを装着しなくても十分な振動減衰性を備えています。
1983年に登場した名器【MAX 200G】という世界的大ヒット&ロングセラーモデルは、急激なカーボン化が進み、打球感が一気に硬質化する状況において、驚異的な振動減衰性を発揮して注目を浴びました。
その後、RIM(反応射出成形)、ダイナミックダンパー(バリヤード)、ヒートコンバート、コアシェル、ソニックコアといったようにフレームの高減衰性機能が連綿と続いております。
このフレームの高減衰性機能のため、あえて振動止めを発売しなくてもいいようにも思うでしょうが、振動止めは「振動減衰性を高める」というよりは、「手に伝わる高い周波数の(不快な)振動を除去するためのフィルター」みたいなものです。
振動止めというパーツは、あくまで「ストリング振動の伝達を抑制する」もので、フレーム自体の振動には関与しません。ただ、これによって手応えが優しくなることに、多くのプレーヤーが慣れてしまったわけです。プロプレーヤーはできるだけそうした曖昧さをなくし、打球感触を手に伝わってくる振動や手応えを「インパクト情報」として確保することで、次の対応の準備をします。ですから、振動止めを装着するプロプレーヤーはとても少ないです。
でも、こども期から「装着すること」に慣れてしまったプレーヤーは、プロになっても振動止めを外さずにプレーし続けるケースもあります。ここは「振動止め紹介のページ」ですが、一度も「振動止めなし」で打ったことのない方は、試しに一度、振動止めなしのダンロップを味わってみてください。意外に「こっちが好き!」となるかもしれませんよ。
1980年代、木製(ウッド)フレームだったテニスラケットが、カーボン中心の構成となる「素材革命」が起きました。それより前のウッド時代、「硬いラケットは飛ばず、柔らかいほど飛ぶ」というのが常識で、テニス専門店でもそのようにアドバイスしていましたし、世界中のメーカーさんもそう言っていて、その考え方はカーボン時代になっても、なかなか変わりませんでした。
「硬い」とされるモデルは打球時の衝撃が大きく、完璧なクリーンヒットでないと安定して飛んでくれません。でも「柔らかい」モデルは、ちょっとくらい芯を外しても、とりあえずボールは返ってくれます。これが「硬いと飛ばず、柔らかいのが飛ぶ」とされた感覚的表現となったのでしょう。
飛ぶフレームは「腰が柔らかい」と表現され、「柔らかいのは女子や子供向け」で、強い男子ほど、硬くて重いラケットを、歯を食いしばって振り「男はこうあるべき!」と痩せ我慢していた時代です。
でもカーボン化によって打球感が急激に硬くなると、それまでのウッドとのギャップが大きく、「やっぱり柔らかいのがイイんじゃねっ?」っていうプレーヤーがたくさんいた……というのが、ウッドからカーボンへの混在過渡期でした。
このとき、世界的大ヒットを記録したのがダンロップ【MAX 200G】というモンスターモデルです。世界的のトッププレーヤーが、男女を問わず、これを愛用しました。もう契約が切れているため、ダンロップのサイトで具体的な名前を表記することはできませんが、あのアメリカの悪ガキも、女子世界一のゴールデンスラマーも、これを愛用していたのです。
筆者は長年の記者経験で「トッププロというのは、自分の感覚・プレーを変えようとしない」ということを知りました。「自分は絶対に変わるはずがなく、つねに100%正確に機能している」と信じ込んでいるのです。もし思い通りにいかないときは、それはラケットのせいだったり、ストリングのせい。判定や観客のせいにしたりもします。
それだけに、「ウッドの感覚」が身体の芯まで沁み込んでいるプレーヤーが、カーボンへ乗り換えるということは、自分のプレーをゼロから組み直すのと同じくらいたいへんなことなのです。
彼らの「コントロール精度」は、柔らかく適度にしなるラケットに対して最適化された超精密機械です。柔らかいラケットのしなりやフィーリングのクセを踏まえたうえで、ピンポイントを狙うようにプログラムされた精密機械にとって、硬いラケットのインパクトでは、ボールが離れるタイミングが早くなり、これまでの正確性を保つことができなくなります。
だからこうしたプレーヤーは「カーボン系でも、柔らかいフレーム」に愛着を感じたのです。カーボンのパワーを持ちながらも、しなる感覚や、素材的な柔らかさを保ったラケットに移行する道を選び、自分の感覚やプレースタイルを保ちながら、「カーボン化」へ向かうプロテニスに適応すべく、パフォーマンスを進化させていったのです。
さて、この【MAX 200G】によって、「柔らか伝説」はその後のダンロップの一貫したイメージとなりました。同様の感覚を持った一般プレーヤーも多く、その愛着に応えて、ダンロップは【MAX 200G PRO】【MAX 200G PRO II】【MAX 200G PRO III】を発売するというロングセラーになりました。
ラケット世界がカーボンに移行しても「硬いのは飛ばず、柔らかいのが飛ぶ」説は生きていましたが、それを完全に覆したのが「厚ラケ」の登場です。厚ラケの反発力が非常に高くなる理屈は、「しならないからパワーが逃げず、ボールにパワーを集中させる」というもので、それまでの「硬い:飛ばない/柔らかい:飛ぶ」説を、見事にひっくり返し、世界中のメーカーが厚ラケ発売に踏み切ったのです。
あれから35年、現代のカーボンは進化し続け、きわめて高品質……つまり硬くて強靭となり、すべてのラケットの剛性を引き上げることとなりました。もはや昔のような「柔らかい」フレームを、時代に逆行して作ることは叶いません。カーボンの進化は、行き着くところまできてしまったようです。
もはやダンロップのラケットたりとも「剛性の高さ」という巨人からは逃れられず、いくら【MAX 200G】の感覚と同じフィーリングを求めても、現代のラケットで完全再現することはできません。しかしながらダンロップは、ラケット全体の中でのポジションとして「柔らかいイメージ」を、運命であるかのように守り続けています。
本質は高い剛性を持つカーボンフレームに、いかにして「柔らかく」「マイルドな」打球感を持たせるか……、ダンロップの開発者は40年間も挑戦し続け、時代にマッチした「マイルドなフィーリング」を送り出してきました。
その技術については、次に発売される「ボックスフレーム」で明らかにされ、「柔らか愛好家」に届けられるでしょう。現代の「柔らかさ」を纏って……。
松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップメンバーズメルマガ」のサポーターも務めてもらっています。
ダンロップでは2023年年末から2024年春にかけて、全国ツアーの「シン・ボックスラケットDEMO TOUR」を開催予定で、そのイベントで使用するMAX 200Gラケットを探しています。
お手元にお持ちで、ダンロップの最新モデル「シン・ボックスラケット」と交換していただける方を募集しています。
もし、お手元に、使用していないMAX 200Gがございましたら、ぜひご応募ください!
*シン・ボックスラケットはダンロップが2024年に発売を予定しているニューモデルです。
商品情報解禁後に、モデルの詳細をご案内させていただきます。
募集締切:2023年11月12日(日曜日) 23:59
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