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味を表現するとき「甘い・辛い・しょっぱい・酸っぱい・苦い」。いっぽう、味覚は5つの基本味「甘味」「塩味」「苦味」「酸味」「うま味」で構成されるとも言われますが、グルメ番組では『コクがありますね!』、料理番組では『これでコクを出します』というフレーズが、やたら頻繁に使われますよね。
それさえ言えば「美味しそう」を匂わせる、便利な言葉。聞いたほうも、「そっかぁ、コクがあるんだぁ」って納得した気になっていますけど、意味わかってます?
ほとんどの人が、正確に答えられないでしょ。「う~ん、コクがあるねぇ!」って言っておけば、なんか魅力があるように思ってるわけです。最近流行の「AI辞書」には「深みがあること」なんて出てますけど、じゃあ「深みってナニよ?」
なぜ「コク」っていう言葉を魅力的に感じるか?AIではなく、人間様が書いた文章を頼りに調べていくと……コクを構築するのは、「複雑さ」「広がり」「持続性」という3つの要素で、ワインを表現するときに使われる『ボディ』という言葉が、コクとかなり似ている概念だ……という説に突き当たりました。
この中で、いちばん感覚的にわかるのが「複雑さ」です。ストレートなものって、単純だけど、いろんな味が絡まっていくと、複雑で独特なものになってゆき、それが美味しさとして味覚を刺激していくんでしょう。
テニスにも「コクがあると、強くなる」って思います。プロのパワー&スピードは尋常じゃないけれど、ベースラインでのハードヒット一辺倒の応酬に慣れてしまって、試合が「単調な殴り合い」みたいになっているような気がします。リズムを変えたり、ショットの種類を複雑に組み合わせるバリエーションがあったりするだけで、テニスに広がりが生まれて、もっともっと面白くなるのに。
「経験したことのない展開」という違和感が複雑さを醸し出し、相手をズブズブと沼に引きずり込んでいく……それが伊藤あおい選手の「コクのあるテニス」じゃないでしょうか。「棒立ちフォアハンドスライス」、いっさいのやる気を消した「腕だけスライス」、「攻撃しないように見えて、じつは速いスライス」という「謎テンポの沼」にハマる相手選手は、ちょっと気の毒なくらいです。

松尾高司氏
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。
テニスアイテムを評価し記事などを書くとともに、
商品開発やさまざまな企画に携わられています。
また「ダンロップテニス」のサポーターも務めてもらっています。